研究課題/領域番号 |
02454232
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 紀夫 大阪大学, 医学部, 講師 (00144478)
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研究分担者 |
佐々木 裕 大阪大学, 医学部, 助手
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部, 助手 (70214286)
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キーワード | B型肝炎ウイルス / X遺伝子 / X蛋白 / X抗体 / 癌遺伝子 |
研究概要 |
B型慢性肝疾患における肝組織のHBV X遺伝子の発現を検討するため、肝生検組織を用いて間接酵素抗体法でX蛋白の発現を解析した。肝硬変に比し慢性肝炎では高率にX蛋白は発現するのに対し、血中X抗体は慢性肝炎に比し肝硬変でより認められた。また、免疫組織学的検討にてX蛋白は肝細胞質内に染色され、その分布はHBc抗原陽性細胞と類似しており、HBV X蛋白がウイルスの増殖を活性化していると考えられた。実際、肝細胞中X蛋白陽性症例での血中HBVーDNA量は陰性症例のそれに比べ有意に多く、更に血中のX抗体の有無をウェスタンブロット法にて検討するとX抗体の出現と共に肝組織中X蛋白の発現が抑制される傾向があり、またX抗体の陽性頻度は慢性肝炎のHBe抗体陽性期や肝硬変の時期に多いことより、ウィルス増殖の盛んな感染早期にX蛋白が発現していると考えられた。 B型肝癌症例の癌部と隣接非癌部のX蛋白の発現を間接酵素抗体法で解析すると、隣接非癌部でX蛋白の発現が認められたため、現在ウェスタンブロット法およびサザンブロット法を用いて、X遺伝子の宿主遺伝子への組み込みの有無と、発現したX蛋白がB型肝炎ウイルスからのものか宿主に組み込まれた遺伝子からのものか検討中である。 更に、X蛋白の発現と細胞性癌遺伝子であるCーmyc、cーHaーras発現との関係も現在検討中である。
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