研究概要 |
胃粘膜培養細胞を用い、内因性プロスタグランジン(PG)欠乏による細胞超微形態の変化と胃粘膜微小循環障害時の主要傷害因子と考えられているフリ-ラジカルの細胞傷害性とPG,ロイコトリエン(LT)代謝への直接的影響を検討した。胃粘膜培養細胞はTeranoらの方法に基づきラット胃粘膜から単離・培養し、実験に用いた。 1.種々の濃度のインドメサシンを投与し、PG合成能と透過型電顕を用いて細胞超微形態におよぼす影響を検討した。その結果、10^<-4>M以上のインドメサシンによりPG合成能はほぼ完全に抑制され、5×10^<-4>M以上の濃度ではmicrovilliの消失や細胞膜の破壊が認められた。 2.キサンチン(X)とキサンチンオキシダ-ゼ(XO)を投与し、in vitroにおいてフリ-ラジカルを発生させ、その細胞傷害性を^<51>Cr遊離試験により検討した。さらに種々のフリ-ラジカル消去剤を用い、各フリ-ラジカルの有する意義を検討した。その結果、hydrogen peroxideが最も細胞傷害性が強く、superoxideやhydroxyl radicalは傷害性が弱かった。 3.フリ-ラジカルのPG,LT生合成能に対する影響としては、PGE_2の生合成はhydrogen peroxideとhydroxy1 radicalにより抑制され、superoxideにより刺激された。LTB_4はの生合成はhydroxy1 radicalにより刺激され、SPーLT(LTC_4,D_4,E_4)の生合成はhydrogen peroxide、hydroxy1 radicalおよびsuperoxideにより刺激された。 4.LT合成酵素阻害剤によりXーXOによる細胞傷害は濃度依存的に抑制された。すなわち、LTがフリ-ラジカルによる細胞傷害発生に関与している可能性が示唆された。
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