研究課題/領域番号 |
02454236
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小林 絢三 大阪市立大学, 医学部, 教授 (70046928)
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研究分担者 |
中村 肇 大阪市立大学, 医学部, 講師 (60164323)
荒川 哲男 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60145779)
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キーワード | 胃 / アラキドン酸カスケード / 細胞保護作用 / 細胞傷害 / 微細管 |
研究概要 |
ラット胃粘膜細胞を単層培養し、これを用いて以下の項目について検討した。1)エタノールの細胞傷害性の検討;エタノール濃度および接触時間との関係と細胞外液中Ca^<2+>濃度の影響。2)エタノールの細胞傷害に対する16、16-dimethyl PGE2(dmPGE2)の影響。3)エタノールの細胞傷害に対するcolchicine(COL)の影響。4)dmPGE2によるエタノール細胞傷害の抑制作用に及ぼすCOLの影響。5)細胞のCa^<2+>fluxesに対するdmPGE2の作用とこれに及ぼすCOLの影響。6)microtubules(MT)の細胞内局在に及ぼすCOLの影響とこれに対するdmPGE2の作用。細胞傷害性は^<51>Cr遊離試験及び透過型電子顕微鏡による超微形態所見にて判定した。 その結果、1)エタノールは濃度依存的、時間依存的に細胞傷害性を発揮した。また、エタノールによる細胞傷害はCa^<2+>の濃度に依存し、Ca^<2+>非存在下では傷害は軽度であった。2)dmPGE2はCa^<2+>存在下におけるエタノールの細胞傷害を10^<-5>Mの濃度で抑制したが、Ca^<2+>非存在下の傷害は抑制し得なかった。3)COLは単独では10^<-7>〜10^<-5>Mの範囲において細胞傷害性を示さなかったが、8%エタノールによる傷害を10^<-5>Mで増強した。このCOLによる傷害増強作用は、Ca^<2+>依存性であった。4)dmPGE2によるエタノール細胞傷害の抑制作用は、COLを前投与した場合消失した。5)dmPGE2は細胞からのCa^<2+>effluxを亢進させ、COLはこれを低下させた。このdmPGE2によるCa^<2+>effluxの亢進作用は、COLをdmPGE2と同時投与した場合は影響を受けなかったが、COLを前投与した場合は消失した。一方、COLおよびdmPGE2はCa^<2+>influxには影響を及ぼさなかった。6)無処置の細胞ではMTの局在はmitochondriaの近傍に認められた。COLはMTの減少と局在の変化をもたらしたが、dmPGE2の同時投与はこれらを抑制した。 以上のことから、ラットの胃粘膜培養細胞を用いたin vitroの実験系において、エタノールによる細胞傷害にはCa^<2+>に依存しない部分と依存する部分とがあり、dmPGE2はCa^<2+>依存性のエタノール細胞傷害を抑制することが判明した。dmPGE2によるエタノール細胞傷害抑制の機序として、MTを介する細胞からのCa^<2+>effluxの亢進が関与することが示唆された。
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