研究課題/領域番号 |
02454237
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
石井 裕正 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (20051500)
|
研究分担者 |
浜松 永昌 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00208597)
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00206385)
加藤 眞三 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30177448)
|
キーワード | 活性酸素 / 肝微小循環 / 虚血障害 / 内毒素 / nitric oxide |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続きラットの潅流肝を用いて高感度のカメラを備えた蛍光顕微鏡下に、種々の蛍光プロ-ベの蛍光強度を解析し、酸素ストレスの肝障害の発生機序における意義について検討し、以下の成績を得た。まず、潅流速度を通常の25%にして作成した低潅流性虚血障害では、過酸化脂質の蛍光プロ-ブであるdichlorofluorescein(DCF)の蛍光はzone2で増加が始まり、zone3へと拡がることが観察され、ミトコンドリアの機能の指標として使用したrhodamine123(Rh123)の低下はzone3で見られた。さらに、壊死した細胞に取り込まれ障害された細胞をあらわすpropidium iodide(PI)の蛍光は、zone3に観察された。このような変化はprostagrandine E_1やキサンチン酸化酵素の阻害剤であるallopurinolの添加により抑制されることがしめされた。次に、細菌内毒素(LPS)による肝障害モデルを作成し、活性酵素のひとつであり強力な血管拡張作用をもつnitricoxide(NO)の細胞障害への関与について検討した。 LPSの添加によりRh123によりみたミトコンドリアの機能の低下はzone3により強くあらわれた。この反応は、NOの合成阻害剤であるLーN^Gーmonomethyl arginineの添加により抑制され、NOがLPSによるミトコンドリア障害に関与していると考えられた。これを遊離した肝細胞、Kupffer細胞において検討したところ、Kupffer細胞が同時に存在するときにのみ肝細胞のミトコンドリアの機能低下が観察され、LPSにより活性化されたKupffer細胞より放出されたNOが、細胞障害に関与している可能性が示唆された。
|