研究概要 |
肺血管床障害の研究. 肺血管床障害とその防御機構を観察するために,家兎より肺血管及び大動脈を剥離し蛋白分解酵素を用いて,血管内皮細胞を分離し,血管内皮細胞の代謝を検討した。この血管内皮細胞を傷害する原因となる種々の功撃因子に対して,細胞内の防御因子を測定した。その結果,血管内皮細胞は高いグルタチオン濃度・抗酸化酵素活性を有することが明らかになった。即ち,還元型グルタチオンは3.7nmol/mg protein,Cu,Zu-SOD活性は172.9units/mg protein,グルタチオン過酸化酵素とグルタチオン還元酵素は各々179.1milliunits/mg proteinと4.2milliunits/mgProteinであった。細胞内に存在するこれらの酸化的ストレスに対する防御機構の重要性が明らかとなった。 血小板の代謝に関する研究. 血小板の膜受容体を構成する膜の糖蛋白に関する研究を行う上で,糖蛋白に対するストレスとその防御機構を明らかにするために,ヒト血小板の細胞内の防御因子を測定した。健常者のグルタチオン濃度は0.57μmol/10^6plt,グルタチオン合成酵素は266.25units/10^6pltであった。一方,血管傷害を示す糖尿病患者の血小板のグルタチオン濃度は0.38μmol/10^6plt,グルタチオン合成酵素は185.91units/10^6pltと,糖尿病患者の血小板に於て抗酸化機構の低下が示唆された。
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