研究概要 |
1.ヒト胸腺に検出されるレトロウイルス遺伝子のcDNAクロ-ニング: KKー11細胞(ヒト胸腺に検出されるレトロウイルス粒子を用いてヒトT細胞株への感染実験を行い得られたウイルス産生株)の培養上清よりウイルス粒子を精製した。逆転写酵素活性が認められた分画を用いてendogenous polymerase reactionにてcDNAを合成した。二本鎖DNA作製後入gt10ベクタ-に組込みcDNAクロ-ニングを行った。 その結果、(1)cDNAクロ-ニングにて10数個の挿入cDNAが得られた。(2)これらのcDNAを探索子としたSouthern分析にてKKー11細胞DNAとの間にハイブリダイゼ-ションが認められた。手術で得られた重症筋無力症の胸腺腫DNAとのSouthern分析では高率にバンドが検出された。ヒト胎盤DNAとの間にハイブリダイゼ-ションは観察されなかった。 2.cDNAクロ-ンの構造決定 7つのcDNAクロ-ンについてジデオキシ法にて一部(400bp〜1200bp)の塩基配列を決定した。ホモロジ-の検討ではGen Bank,EMBLに登録された既知のウイルス遺伝子とは一致せず、新しいウイルス遺伝子と判明した。HIVなどレトロウイルス遺伝子と比較的高いホモロジ-を示した。 今後、さらに多数例の重症筋無力症胸腺DNAとの間でSouthern分析を行う。クロ-ニングで得られたcDNA(ウイルス遺伝子の断片)を探索子としてgenomicクロ-ニングを行う。
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