研究概要 |
1.ヒト胸腺由来レトロウイルスのcDNAクロ-ニング (1)ウイルス遺伝子断片のクロ-ニング:ヒトT細胞への感染実験にて樹立されたウイルス産生株よりウイルス粒子を精製した。レトロウイルス個有のendogenous polymerase reactionを用いてcDNAを作成、二本鎖DNAにした後、λgt10ベクトルに挿入しクロ-ニングを行った。 ^<32>Pをラベルした上記endogenous palymerase reactionで作製したcDNAを探索子としてスクリ-ニングを行ったところ、500-2.5kbの挿入cDNAクロ-ニングが得られた。 (2)cDNAクロ-ンの特異性の検討:上記のcDNAクロ-ンを探索子として各種細胞DNAとの間でSouthern分析を施行したところ、ウイルス産生株やヒト胸腺腫DNAとの間でハイブリダイゼ-ションが観察された。 (3)cDNAクロ-ンの構造決定:一つのcDNAについては約1300bp,他の6つのcDNAについては約400bpずつdideoxy法にて塩基配列を決定した。EMBLデ-タベ-スに登録された全ての遺伝子との対比を行ったところ、新しい遺伝子であることが判明した。HIVなどレトロウイルス遺伝子と比較的高い相同性を示した。 2.ヒト胸腺由来レトロウイルスのゲノミッククロ-ニング 上記ウイルス遺伝子断片cDNAを探索子として、ウイルス産生株DNAよりゲノミッククロ-ニングを行った。約30万個のクロ-ンより1つのゲノミッククロ-ンが得られた。現在、制限酵素地図の作成を行い、LTR構造について検討中である。
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