研究概要 |
平成2年度には実験システムの整備を中心に行った。血管老化モデルとして内皮細胞のCell lineを確立するために長期間内皮細胞を培養・継代し各年齢の細胞を凍結・保存した。細胞年齢は継代毎にコウルタ-カウンタ-により細胞数を正確に数え累積細胞数倍加回数(CPD)として計算した。現在までにCPDが60,70,150以上の3つのCell lineを得ることができた。またヒトの腸骨動脈の内皮細胞を米国ペンシルバニア州ウィスタ-研究所のLevine教授から供与を受けそのCell lineを同様に凍結・保存した。また本研究では血行力学的応力に対する内皮細胞の反応から老化の評価を行う予定であるがそのための血行力学的応力負荷装置を改良し従来よりも多く多量の細胞に負荷ができる装置を作製した。ちなみに従来のものでは負荷できる細胞の数は1回に約4×10^5個であったが、改良されたものでは約3.4×10^6個である。さらに細胞機能の測定に用いる蛍光測光法に関しより精度の高いシステムを確立するために,Fwaー2を用いる細胞内Ca^+濃度の測定ではマイクロコンピュ-タ-を用い励起光のフィルタ-の高速切り替えや蛍光強度の時系列的変化のdisplay表示等を自動化した。また光電子増倍管による螢光の測定の他にSilicon intensifived target camera(SIT管)を用いFuraー2を螢光面像として記録しその空間分布的変化を検討できるようにした。当該年度に設備備品として高速冷却遠心機が購入されたがこのことにより細胞培養に必要な細胞増殖因子の牛の脳からの分離抽出が可能となり、かつ種々の生化学的測定のための試料作成が簡便・迅速となった。以上当該年度に目指した実験システムの整備は予定通り進行し,次年度の研究・実験への準備は整った。
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