研究分担者 |
山下 尋史 東京大学, 医学部(病), 医員
杉浦 清了 東京大学, 医学部(病), 医員
河本 修身 東京大学, 医学部(病), 医員
大谷 余志 東京大学, 医学部(病), 助手 (90203827)
百村 伸一 東京大学, 医学部(病), 助手 (10190985)
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研究概要 |
本研究の目的は心筋細胞のイオン代謝と拡張機能の関係について明らかにすることである。本年度は単離心筋細胞,培養心筋細胞と摘出潅流心モデルにおいて細胞内Ca^<2+>濃度と収縮の同時記録法を確立した。 (1)血管造影剤の心筋に対する影響(特に拡張機能を重点的に):新しく導入された非イオン性血管造影剤は従来のそれに比して心筋の収縮・弛緩・拡張に及ぼす影響が少いことを上述した系を用いて示した。その機序としては造影剤自身の高浸透圧,Na濃度,Caキレ-トの3つの組み合わせであることを示した。(Heart and Vessels印刷中) (2)心筋の肥大や拡張機能障害に深くかかわっていると考えられるようになったバソプレミンについて,そのブロッカ-を用いて心筋の収縮と弛緩および拡張にどの様な影響を及ぼすかについての検討を行った。(Hypertension誌印刷中)(3)ペ-シングリズムをプログラム刺激装置により変化させた場合の収縮弛緩機能と細胞内Ca^<2+>動態に対する影響について検討した。種差やモデルによる差異の可能性を考慮して,ニワトリ胚培養心筋細胞(cellとstrand)モルモット単離心筋細胞,ランゲンドルフ潅流心の4モデルについてpostーextra systolic potentiation とpaired stimulationによるpotentiationを調べた。その結果収縮の強さと[Ca^<2+>]_itransientsの変化の方向は一致せず,収縮蛋白のCa^<2+>に対する感受性が極めて短時間に変化する可能性を示した。その機序としては心筋細胞の拡張期のサルコメアのストレッチの状態が次の収縮時のCa^<2+>感受性を変化させると推測することもできる。(この一部は第64回米国心臓病学会で発表した) (4)心不全の治療に近年用いられるようになった各種強心薬の細胞レベルでの作用を検討中で細胞内Ca^<2+>濃度の変化を介さずに変力作用を示すものと,従来通りそれを介するものの差異が収縮と[Ca^<2+>〕_i濃度の同時測定により明らかにすることができた。(一部第63回米国心臓病学会で発表した)
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