研究課題/領域番号 |
02454256
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 裕 大阪大学, 医学部附属病院, 助教授 (20127252)
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研究分担者 |
佐藤 秀幸 大阪大学, 医学部, 助手 (70167435)
北畠 顕 大阪大学, 医学部, 助教授 (00124769)
井上 通敏 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (30028401)
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キーワード | 無重力環境 / 24時間臥床負荷 / 幅交感神経 / 交感神経 / 圧受容体 / 起立時循環障害 |
研究概要 |
無重力環境における循環機能については、従来、体液量の減少とそれに対する策に重点がおかれ、循環の恒常性維持にもっとも重要な役割を果している動脈および心肺圧受容体反射機能が無重力環境下においてはどのように変化するのかという基本的な問題については、まだ十分な検討がされていない。圧受容体反射の変化は、無重力環境あるいは帰還時における体液量の調節異常をきたし、さらに帰還した際に認められる起立不耐性、交感神経過緊張などの密接に関与している可能性がある。昨年度は、無重力環境の模擬として24時間臥床負荷を用い、動脈圧受容体反射機能に及ぼす影響を検討した結果、降圧時の動脈圧受容体反射の感受性が低下することを明らかにした。また24時間臥床後、体重が有意に減少するから、循環血液量が減少することが示唆された。そこで本年度は、1)下半身陰圧負荷試験(LBNP)時の前腕血管抵抗(FVR)および心拍数(HR)の反応から、起立時心血管応答におよぼす24徳間臥床の影響を、2)さらに交感神経α刺激薬に対するFVRおよび交感神経β刺激薬に対するHRの反応から24時間臥床が効果器の反応性におよぼす影響を検討した。その結果、1)LBNP時のFVRおよびHRの増加が24時間臥床により増強されること、2)αおよびβ受容体刺激に対する心血管の反応性が亢進することが示された。以上の結果から、無重力環境よりの帰還時には、循環血液量の減少は起立時の圧受容体の減負荷を増強し、交感神経興奮を促進すること、また心血管の反応性の亢進は交感神経興奮に対する心拍数および末梢血管抵抗の増加を増強することが示唆され、逆に、降圧時の動脈圧受容体反射の感受性の低下は、起立時の交感神経興奮を抑制することが示唆された。本研究のLBNP負荷時に認められたように、起立時の交感神経の興奮および心拍数と前腕血管抵抗の反応亢進は、この3者の差し引きとして生じるものと考えられる。
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