研究分担者 |
峯岸 直子 東北大学, 抗酸菌病研究所, 医員
峯岸 正好 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (20211592)
佐藤 徹雄 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (90170761)
土屋 滋 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (30124605)
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研究概要 |
骨髄移植(BMT)適応疾患々児でHLA適合ドナ-のない場合はHLA不適合ドナ-に頼らざるを得ない。この場合の問題点は重篤なGVH病の合併であり,またGVHD予防のためT細胞除去BMTを実施すると生着不全(拒絶)が起ることである。この様なHLA不適合BMTにおける隘陪を克服するためにヒトLFAー1の鎖(CD11a)に対するモノクロ-ナル抗体(mAb)の応用が有用であることが示されている。本研究では生体に投与された抗LFAー1mAbの血清動態や生物学的影響を究明した。ファンコン貧血患者でHLAハプロタイプ一致の母親をドナ-としてT細胞除BMTを施行した際,抗IFAー1抗体(25.3)を用いた,mAbの副作用はなかったが,造血能の再構築は得られなかった。ファンコン貧血でのHLA不適合BMTは抗LFAー1mAbを用いても成功例は欧米でもなく,疾患に特有の問題点が存在するものとみられる。今後の研究課題である,血清マウスmAb量を測定するための酵素免疫法(ELISA)を確立した。この方法を用いて,mAb投与後の血清動態を解析した。患者は肝炎後再生不良性貧血で同種BMTを受けたが,重症でしかもステロイド性抗性GVHDを発病し,その治療の目的で抗LFAー1mAbの投与を受けた。6時間かけて点摘静注した所,血清レベルは開始後8時間でピ-クを示し,以後漸滅した。半減期は約40時間と算出された。連日7日間の投与した結果,累積的にmAb血清濃度は上昇し,5日目頃にピ-クとなり,投与中止後すみやかに低下した。mAb投与中白血球,とくに好中球減少が認められた。しかし,リンパ球数は変動せずに経過した。T細胞数は変らないが,CD_4+細胞は減少した。マイトゲン刺戟のリンパ球増殖反応はmAb投与中は発現されず,中止後正常に復した。mAbの臨床効果は明らかで,副作用はほとんどなく,重症GVHDの治療に有効であると考えられた。
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