研究概要 |
未熟児貧血,小児再生不良性貧血,先天性好中球減少症,小児白血病につき血球減少機構を解析するとともに有効な造血因子療法を検討中である。 1.血球減少発症機構の解析と造血因子に対するin vitroの反応性 (1)未熟児貧血では,ヘモグロビン値に見合うエリスロポエチン(EPO)の産生がなく,EPO投与の有用性が示唆された。 (2)再生不良性貧血では,in vitroの造血が不良であったが,造血因子に対する反応性は認められた。 (3)先天性好中球減少症の過半数例において抗好中球抗体が検出され,それが好中球減少の主因と思われた。In vitroの造血は正常であった。 (4)白血病では,化学療法に伴う血球減少につき検討したが,in vitroの造血は著しく障害されていた。 2.造血因子カクテル療法 (1)未熟児貧血に対してEPO投与が有効であった。外国で指摘されたような好中球減少の出現に対してはGーCSFの併用を考慮したが,今回検討した8例では好中球減少はみられなかった。 (2)再生不良性貧血に対してGーCSFとGMーCSFを投与した。臨床効果は症例により異ったが,8例全例において好中球数が増加した。1例において,GーCSF単独ではほとんど無効であったが,GMーCSFとGーCSFを連続して投与することにより好中球の増加がみられた。増加した好中球機能は正常であった。 (3)先天性好中球減少症ではGーCSFの効果が顕著であった。その際の抗好中球抗体の変動は注目されるところであり現在検討中である。 (4)白血病の化学療法後にみられる好中球減少症に対してGーCSF,GMーCSF投与は有効であった。
|