研究課題/領域番号 |
02454271
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
三池 輝久 熊本大学, 医学部, 教授 (90040617)
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研究分担者 |
杉野 茂人 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60226446)
猪山 賢一 熊本大学, 医学部, 助教授 (10040536)
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キーワード | DMD / ジストロフィン / 網膜 / RT-PCR / 脳型ジストロフィン / dy関連蛋白 / シナプス |
研究概要 |
Duchenne型筋ジストロフィー症(DMD)やmdxマウスにおける欠損蛋白ジストロフィン(dy)の機能解析は現在までのところ解決されていない。私たちはこれまで免疫組織化学や免疫電気泳動法を用いてdyの正常組織における存在部位を全身の組織において検討し、収縮機能を持った細胞の膜や神経シナプスを中心として存在することを明らかにし、dy関連蛋白(DRP)の存在部位もまた神経筋接合部や筋腱接合部を中心としてシナプス部位に多いことを明らかにした。 この事実はdyが神経筋の刺激伝達系に関わっている可能性を示唆するものであるがdyが筋線維の膜に多く存在することを重く見るいわゆる「膜説」支持は根強く現在もDMD病因論の中心をなす。 私たちは蛋白が存在する部位にはその蛋白の存在理由がなければならないとの考えからシナプス系統におけるdy存在の意味の大きさを主張してきた。 私たちが最初に報告した網膜のシナプスにおけるdyについて実際に発現し存在するのかの疑問に答えることはdyの機能についての議論に大きな情報を与えると考え、RT-PCRを用いて、マウスの脳および網膜のdyのmRNAを解析し両組織間での相違を調べた。 網膜dy mRNAの第1エクソンは主に脳型であることが確認された。 脳および網膜から通常のdy mRNAに加え3'末端に39塩基対、139塩基対、330塩基対および32塩基対の欠失を持つ亜型が検出された。脳では330塩基対の欠失を持つ亜型が多く、一方網膜では通常のタイプが多かった。 これらの結果から、マウスの網膜にはdyが明らかに存在しており、そのタイプは脳型であることが確かめられた。 以上今年度はDRPおよびdyがシナプスを中心として主に刺激伝導系に存在することを再確認し、これらの蛋白が刺激伝導系に何らかの機能を持つものであることを示唆した。
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