研究分担者 |
奥 章三 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (80224145)
今中 啓之 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (80223329)
川上 清 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (50152921)
吉永 正夫 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (10145469)
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研究概要 |
I.溶レン菌M蛋白分画を妊娠ウサギに感作する実験 1)A群溶レン菌12型を大量培養し、M蛋白を分離抽出した。 2)ウサギを妊娠前3カ月からM蛋白で感作し、さらに妊娠15日に再投与(5mg/kg)して心血管奇形発生の有無を検索した。免疫したウサギ10匹中、8匹が妊娠し、この母ウサギから46匹の胎仔が得られた。胎仔について固定後、実体顕微鏡下で奇形の有無を調べた結果、心血管奇形を見出し得なかった。 3)母ウサギの血清中にはオフタロニ-法で抗M蛋白抗体が10匹中8匹に証明できた。 4)蛍光抗体法により母ウサギ心筋における抗M蛋白抗体沈着を10匹中6匹に証明できた。胎仔心筋には証明できなかった。 5)病理組織学的には、母仔ともに炎症性変化などを認めなかった。 II,溶レン菌生菌を妊娠ウサギに投与する実験 1)妊娠15日ウサギ4匹にA群溶レン菌12型(1×10^9CFU/m1)を1m1静注し、妊娠29日に胎仔を摘出して奇形の有無を検索した。その結果、心血管奇形は見出せなかった。 2)組織学的検索では、母ウサギ心筋内に軽度のリンパ球浸潤を認めるものがあった。胎仔には特に変化を認めなかった。 考察:以上の結果から、ウサギは溶レン菌に対する反応が弱く,溶レン菌による感染や感染アレルギ-が成立しにくいことが推察される。このことは、M蛋白分画を妊娠ラットに投与した同様な実験で,心血管奇形の発生をみた私共の成績と比較し大いに異なる点である。したがって、溶レン菌に対する反応には動物種による差があり、ヒトに外稗することの難しさを示唆する所見であった。
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