研究課題/領域番号 |
02454272
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
宮田 晃一郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30041411)
|
研究分担者 |
奥 章三 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80224145)
今中 啓之 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80223329)
川上 清 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (50152921)
吉永 正夫 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (10145469)
小野 星吾 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (00094128)
|
キーワード | 心血管奇形 / ラット / 全胚培養 / 複合糖鎖 / レクチン / E-64 |
研究概要 |
1.ラットの全胚培養による実験 発達中の心臓における複合糖鎖発現の局在と機能について検討するために、ラット全胚培養を行い、11.5日心臓のレクチン染色を行った。また、妊娠母体への投与で心奇形の発生が確められている蛋白分解酵素阻害剤E-64を培養液に添加し、染色強度の変化を観察した。 方法:胎令9.5日にラット胚を無菌的に摘出し全胚培養を開始した。培養液にコントロール群はPBSのみを、E-64添加群は3または5μg/m1になるように加えた。11.5日胎芽をとり出し固定後、レクチン染色(RCA-I,GS-II,BPA,AAAの4種類)を行った。 結果:RCA-Iでは、心内膜に強い反応が認められ、また、流出路と房室間部の心筋細胞にも認められた。これらの反応は、E-64添加群で減弱していた。GS-IIでは、房室間部の心筋細胞の反応性がE-64添加群でコントロールに比し減弱していたが、その他の部位では差がなかった。BPAでは、コントロール群での反応が弱く、E-64添加による差もなかった。AAAでは、心筋細胞および心内膜に弱い反応が認められたが、E-64群ではほとんど反応しなかった。神経管の上衣細胞層はRCA-IとBPAに強く反応しており、RCA-IではE-64添加群で少し減弱していた。 考察:心血管系の分化・発達は、胎生早期に急速な変化で進行するが、その調節に細胞表面の複合糖鎖が関与している可能性がある。今回は、11.5日心のみについて検討したが、房室間部・流出路の心筋および心内膜において、RCA-IとGS-IIで強い反応が認められた。これらの反応がE-64添加群で減弱していたことにより、複合糖鎖が心形成期の分化誘導に重要な役割を担っており、E-64がそれらの発現に影響を与えることが高率な心奇形発生の要因となっている可能性が示唆された。
|