研究概要 |
新生児呼吸窮迫症候群(RDS)の治療法として実用化されているSurfactant TA(T=Tokyo,A=Akita)と諸外国で臨床試験中にある各種surfactantの活性を物理化学的方法により比較検討した。 【各種surfactantの作製】(1)ブタ肺リン燐脂質分画(Curosurf),(2)牛肺洗浄液surfactant脂質(CLSE),(3)purified natural surfactant(PNS),(4)DPPC:PG(ALEC)は各々の原法に従い作製し,(5)Surfactant TAは東京田辺研究所より提供を受けた。【表面活性の測定】1)表面拡散、2)表面吸着、3)最小表面張力はWilhelmy surface belーanceとOsoilating bubble surfactometerにて測定した。各々のsurfaーctantの至適表面活性が得られる最小必要量(mg/ml)を測定した。4)stable microbubbleount:各々のsurfactantについて,種々の濃度に対するstable microbubble countを測定した。surfactantは各々5検体を作製し、各々5回上記の測定を行なった。【結果】1)Wilhelmy balanceにおける表面吸着速度:拡散液中のsurfactante濃度500ug/mlで比較した場合、surfactant TAは499±294秒(s),PNS645±336sであたのに対しCNS=L1354±1768s,Curo2335±1206sと有意(p<0.01)に遅かった。ALECは何れのsurfactantよりも有意(p<0.01)遅かった。2)最小表面張力:surfactant TAのはoscilation開始後ご速やかに安定した表面活性を示し、5cycle目ですでに10dynes/cm以下となったが他の、CNSーL,Curo,ALECではsurfactantでは有意(p<0.01)に高い値を示した。PNSが10dynes/cm以下の最小表面張力を示すのに3分以上を要した。【結論】Surfactant TAの表面活性に比較し、他のsurfactantは表面吸着の速度は遅く、最小表面張力は有意に高い値を示し、明らかにsurfactantの機能が劣っていた。この差はstable microbubblecountとsurfactantの濃度関係にもみられ、specific acivityはSurfactant TAが最も高かった。
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