研究概要 |
新生児呼吸窮迫症候群(RDS)に対する人工肺サ-ファクタントとして用いられている3種類のサ-ファクタント(本邦で開発されたSーTA、スエ-デンのCurosurf、米国のLSE)について、RDSモデル動作として、サ-ファクタント欠乏未熟ウサギ胎仔(在胎27日、N=300)を用い、その肺機能ならびに肺胞安定性の肺胞安定性の改善の程度をdoseーresponse studyによって比較検討した。肺機能には肺胸廓圧量曲線(PV曲線)、コンプラアンス(CL)を指標とし、肺胞安定性には肺胞拡張の程度(alveolar aerationratio,AAR)を肺組織について画像解析により測定した。 1.肺胸廓圧量曲線(PV曲線): SーTA30mg/kgでは成熟ウサギ新生仔(N=33)と有意差なく成熟レベルまで改善を示した。Curosurt、LSEともに50mg/kgでさえ成熟レベルには達せず、SーTAより低い肺気量を示した(p<0.001)。 2.肺胸廓コンプラアンス(CL): SーTAは15,30,50mg/kg間で有意差なく成熟レベルのCLを示したのに対し、Curosーurf、LSEともSーTAより有意に低いCLを示した(p<0.001)。 3.Alveolar aeration ratio,AAR: 15mg/kgではSーTAは成熟肺と比べると含気量はやや劣るが、Curosrf、LSEより有意に大きいAARを示した。 以上の成績より、SーTAはCurosurf、LSEに比べ質の良い人工サ-ファクタントと結論でき、現在、臨床的に用いられているサ-ファクタントのうち最も優れているサ-ファクタントといえよう。
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