研究概要 |
先天代謝異常による新しい型のび慢性体幹被角血管腫の一例が日本人女性から発見された。そして、この患者の尿から多量の異常物質が排泄されていることが分かり、その物質が精製され、その構造式も明かとなった。すなわち0-結合型の糖・アミノ酸であった。この構造式から類推されたα-Nアセチルガラクトースアミニデースという酵素欠損によるものであるということも解明された。これらは過去二年間の研究により明らかにされたものであり、今年度はその酵素欠損を起こす遺伝子の異常の解明に力が注がれた。 その結果、985番目の塩基であるCがTへと代っていることが分かり、この結果アミノ酸は329番目のアルギニンからトリプトファンへ代っていることが判明した。そして、この異常遺伝子をCOS-1細胞に挿入したところ、この酵素の抗体と反応する蛋白質が産出されていることはされていたが、その酵素活性は検知できなかった。 次に329番目のアミノ酸がアルギニンからトリプトファンへ代わることにより、その蛋白質の二次元構造がいかに変わるかをコンピューターで解析した。その結果、この部分がβ-pleated shcetからrandon coilに変化することが分かった。これはShinlecr病でのα-hclixへの変化とは全く異なるものであった。また、本疾患(Kanzaki digcascと命名されている)とSchindlecr discaseで産生される異常酵素蛋白質は後者のほうがライソゾーム中の蛋白分解酵素に対する感受性がより高いことも測定された。これらのことは神崎病とシンドラー病との発症の違いを説明するものと考えられた。 今年度のこれらの成果はArchivcs of Dcrmatologyに印刷中のものと、J,Clin.Invcst.に投稿された論文の中に入っている。 以上、3年間に渡り神崎病の発見からその遺伝子解析まで全ての研究が無事終了した。
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