研究概要 |
1)PCRーSSCP法によるNFー1遺伝子の解析 レックリングハウゼン病(NFー1)患者の末梢血白血球からDNAを抽出し、NFー1遺伝子のexon4,5,6,7のプライマ-を用いてpolymerase chain reaction(PCR)法を行い,増幅DNA断片についてsingle strand conformation polymorphism(SSCP)法により,遺伝子の変異についての検索を行った.現存までにレックリングハウゼン病患者12例について検索を行ったが,変異のみいだされた症例はない. 2)NFー1患者のP53遺伝子のPCRーSSCP法による解析 NFー1患者の末梢血白血球から抽出したDNA,P53遺伝子のexon2ー3,4,5ー6,7ー8,9,10について設定した6つのプライマ-を用いPCRを行った.PCRで得られた増幅DNA断片をSSCP法で解析したところ,NFー1患者では約75%に,いずれかのexonに変異が認められた.本症家系内の健常人でも約30%に変異が認められたが,対照とした健常人では変異は全く認められなかった.現存,変異のみられたDNA断片のsequencingを行っている. 3)NFー2患者の22番染色体長腕の微小欠損 神経鞘腫症(NFー2)患者の末梢血白血球について高精度分染法による染色体分析を行ったところ,NFー2遺伝子が座位すると考えられる22番染色体長腕の11.2ー12.2に微細欠損の認められる1症例を発見した.また,患者の2人の子供についても高精度分染法を行ったところ,1人には異常は認められなかったが,症状のみられない13歳女児には同様の微細欠損がみつかっている.患者白血球をEBウイルスでtransformすることに成功しているので,NFー2遺伝子近傍のDNAプロ-ブを用い染色体のin situ hybridization法などにより欠損部位の検索を行う予定である.
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