研究概要 |
臨床研究:GdーDTPAはその薬物動態が水溶性ヨ-ド造影剤に似るため,肝腫瘍における早期のダイナミックMRは基本的にダイナミックCTに酷似する。しかし使用機器の時間的(スキャン時間とスキャン間隔),空間的(CTは原則として単一スキャンだが早い機器では呼吸停止下に機器を移動しスキャン部位を増やすことは可能。一方MRは同時多層の短時間撮像法も可能)性能により得られる所見は量的に異なる。呼吸停止期間での多層ダイナミックMRが使用機器で可能となりこれを開始した。一方全肝をカバ-する通常のスピンエコ-法を用いより遅い時間の検査を行なえば,長時間を要するものの造影前・後を比較することによりGdーDTPAの造影剤としての多量投与可能と全肝検査の利点が活かし得る。この方法により小海綿状血管腫は造影前の低・等信号から造影後高信号に変じ,一方肝細胞癌はかかる送転現象を見るものは例外的であり,肝癌高危険群に認められる小腫癌の鑑別に有用であることが確認できた。しかし転移性肝腫癌では海綿状血管腫と同等のパタ-ンを示すものが少なくなく,CTで認められる辺緑部の低吸収帯が呼吸下のスピンエコ-法で消失してしまう例が存在し,多層ダイナミックMRの重要性が示唆された。 動物実験:肝障害より続発発癌するラット系の作製に難航し,MR検査前に死亡するものが多く,造影剤の使用にふみ切れない。一方ウッドチャンクを用いたフェライトの実験では多発肝癌の一個に造影剤が沈着し,本来正常網向系に入り腫癌検出能の向上に寄与すると推定された造影剤が高分化型癌にとり込まれ,検出においては問題が生じるものの,肝細胞癌の分化度に対してのある情報を示す可能性が示された。
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