研究概要 |
臨床研究:本年度はGd-DTPAを用い、1)高速スキャン(snapshot GRASS)による肝細胞癌の造影剤動態・放射線(主にproton)治療効果判定、放射線肝炎の評価、 2)大量投与による肝細胞癌の評価ならびにAMI-25(ferrite、治験phase III)を使い肝腫瘍の検出・性状診断につき検討を行った。 snapshotGRASS法では予想に反し、必ずしもヨード造影剤に比してen hanceが強くおこらず、空間分解能の悪さもあいまって、CTに対して利点は乏しかった。放射線による肝細胞癌の治療効果がenhanceから判定できるかCTも加え検討したが、十分な数が得られず、結論は得られていない。放射線肝炎は照射後の時間によりenhance態度が異なる印象はあるが、未だ断定し得る数に達せず、現在、複数のRI製剤による肝シンチグラムとも対比、検索をすすめている。 Gd-DTPAでは肝細胞癌の全域が濃染し、海綿状血管腫との鑑別が問題となり得るが、今回従来の4倍(0.2m mol/kg)投与を行ない、一分後spin echoで撮像した。径3cm以下の25例中3例(12%)で造影前の等または低信号腫瘤が、被膜(輪状濃染)を欠く全域の均等高信号に変じ、0.05m mol/kgの7%より高率であった。かかる病変にはdynamic studyが必要である。 網内系摂取造影剤AMI-25はwoodchuckで示されたように、高分化型肝細胞癌では取り込みがあり、contrastの低下を認めたものが20%(4/20)に認められた。 動物実験:DABによる実験肝癌をratで作製し、AMI,Blutal(臨床使用の貧血用鉄剤)を用い、投与量、撮像時間、腫瘍の網内機能の比較、検討を行なった。予想される如く、量的には前者の優位性が認められたが、質的差異は組織学的検討が間に合わず(分担研究者が在外研究員として6月-2月まで不在)結論が得られていない。
|