研究概要 |
ハイテク技術の進歩が生出したDigital Radiography systemの一つとして現在我が国に最も広く臨床に用いられているものがFuji Computed Radiography(FCR)である。X線エネルギ-の差を利用して軟部組織画像と骨画像を得ることができるという報告は以前よりあったが,一般患者を対象として広く臨床応用が可能かどうかが問題として残っていた。 FCRをX線検出に利用し,且つ金属フィルタ-を用いた一回撮影胸部写真でこれに成功していたが,画質の点で問題も残っていた。先ずこの点の解決が,フジフィルム宮の台研究所との共同研究で行われ,現在臨床応用が充分に可能と考えられる画質となったのでfineエネサブ技術と呼ぶことにしている。しかし処理時間に問題が残っているので引続き検討が行われている。 一方,この画像を用いて小円形陰影の検出能を調べる目的で,転移性肺癌症例を用いてXーCT,FCR,fineエネサブ軟部画像,通常のフィルムスクリ-ン系の画像で比較検討を行っている。現在の所,XーCT,fineエネサブ,FCR,通常のフィルムの順で検出能が良いという結論を得ている。特にfineエネサブでは肋骨に重なった病巣の検出に優れ,横隔膜ド-ム付近ではXーCTを凌駕するものがあった。しかし中央陰影に重なる部位ではFCRの方が良いものもあった。 以上fineエネサブ画像といえども通常のFCR画像と軟部組織画像の2枚を並べて観察する必要があり,胸部X線検査法の中での地位は,特殊検査とはなり得ず,あくまでル-チン検査の一つとして開発が進められるべきと考えており,それに適する技術的改良が課題である。
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