研究課題/領域番号 |
02454286
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 淳二 京都大学, 医学部, 教授 (70026970)
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研究分担者 |
笹山 哲 京都大学, 医学部, 助手 (90215749)
玉木 長良 京都大学, 医学部, 助手 (30171888)
米倉 義晴 京都大学, 医学部, 助教授 (60135572)
佐治 英郎 京都大学, 薬学部, 助教授 (40115853)
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キーワード | 心筋エネルギ-代謝 / ポジトロンCT / Fー18フルオロデオキシグルコ-ス / Cー11パルミチン酸 / Cー11酢酸 / 糖代謝 / 脂肪酸代謝 / 酸素代謝 |
研究概要 |
心筋ポジトロンCTによりin vivoで心筋局所のエネルギ-代謝の解析が可能となった。これまでFー18フルオロデオキシグルコ-ス(FDG)により糖代謝を、Cー11パルミチン酸により脂肪酸代謝の解析を、Cー11酢酸によりTCA回路の解析を行ってきた。虚血心筋では糖代謝が亢進するためFDGの集積増加として描出された。一方脂肪酸代謝は抑制されており、Cー11パルミチン酸の取り込み低下と洗いだしの遅延として描出できた。しかし被験者の食事摂取で血糖値やインスリン値が大きく変動する場合、心筋内の代謝が大きく変化する問題点を持つ。すなわち健常心筋でも食事を摂取すると、糖代謝が亢進し、脂肪酸代謝が抑制されてあたかも虚血心筋と同様の所見を呈した。次にCー11酢酸は静注後すみやかに心筋に摂取され、TCA回路で代謝を受けて炭酸ガスとなって排泄される。従って心筋からの放射能の洗いだしの速度はTCA回路の活性、ひいては心筋の酸素代謝を反映すると考えられる。臨床例にCー11酢酸を投与し、20ー30分間の心筋内の動態を解析したところ、いずれの症例でもCー11酢酸の血液からの消失は速やかで、投与5分以内に左室心筋が明瞭に描出され、心筋からの洗いだしはほぼ均等であった。またその洗いだしは血糖値やインスリン値の変動による影響を受けないことが示唆された。以上よりCー11酢酸の動態解析より心筋局所の酸素代謝を評価することができ、かつその洗いだしは食事による影響を受けないことが示唆された。次平度は心筋の酸素消費量をどの程度正確に計測できるかについて動物実験による検討を行うとともに、種々の心疾患例に応用し、その臨床的な価値についても検討を進めていく予定である。
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