研究課題/領域番号 |
02454286
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 淳二 京都大学, 医学部, 教授 (70026970)
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研究分担者 |
笹山 哲 京都大学, 医学部, 助手 (90215749)
玉木 長良 京都大学, 医学部, 講師 (30171888)
米倉 義晴 京都大学, 医学部, 助教授 (60135572)
佐治 英郎 京都大学, 薬学部, 助教授 (40115853)
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キーワード | ポジトロンCT / 心筋 / 糖 / 代謝 / 虚血性心疾患 |
研究概要 |
心筋ボジトロンCT(PET)で最もよく用いられているのがFー18フルオロデオキシグルコ-ス(FDG)を用いた心筋のブドウ糖代謝である。心筋の糖代謝を定量化するために、FDGを静脈投与後、動脈および心筋での放射能濃度をそれぞれ動脈採血およびPETによるダイナミック計測により算出した。 これによりパトラックブロットモデル解析を行って心筋局所のブドウ糖の消費量を算出することができた。しかしこれらの一連の計測はきわめて煩雑でかつ侵襲的である。そこで非侵襲的で簡便な手法を考察した。まず投与60分後の組織のFDGの放射能をPETにより計測し、動脈採血により得られた入力関数で除してfractional FDG uptake indexを求めた。さらに簡便法として動脈採血で得られる入力関数の代わりに体重で補正したFDGの投与量を用いてFDG uptake indexを算出した。これらは従来法で求められた心筋のブドウ糖消費量と有意な相関関係があり、特に絶食状態でFDGが投与された場合には高い相関が得られることがわかった。虚血性心疾患例ではしばしばFDGの集積がみられ、糖代謝の亢進した虚血心筋の存在が示唆される。このような領域は冠動脈バイパス術などの血行再建術により機能回復が期待できる。それに対し、FDGの集積のない梗塞心筋では血行再建術が施行されても、術後の機能回復は期待できなかった。 従ってFDGーPET検査により術後機能回復する可逆的な虚血心筋を正しく同定すると共に、血行再建術の適応を決定することが可能と考えられた。 一方心筋の酸素代謝を計測する手法としてCー11酢酸を用いた検討を初年度におこなってきた。今年度はドブタミン負荷時にも検討を加えた。健常例ではコントロ-ル時に比べ負荷時には心筋からのCー11酢酸の洗いたしは均等に増加し、その増加率はダブルプロダクトの増加率と高い相関を示した。この手法により心筋の酸素予備能の測定が可能と考えられ、今後種々の心疾患例での応用が期待できる。
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