研究概要 |
私たちはニホンザルなどの動物脳において免疫組織化学や分子生物学的方法を用い、大脳皮質や大脳辺縁系ニュ-ロンにおけるペプチドの合成に対するド-パミンニュ-ロン支配の影響を分子生物学的レベルで調べている。現在、大脳皮質、辺縁系における各種ペプチドmRNAの発現様式に対する影響を調べる目的で、ド-パミン・レセプタ-遮断剤であるハロペリド-ルをニホンザルに投与し、in situハイブリデ-ション法やcーfos免疫組織化学など様々な組織化学的方法により検討している。 (1)過去数年間、ニホンザルの大脳皮質における各種ペプチド(サブスタンスP,ニュ-ロテンシン)の分布を調べてきたが,最近私たちはニュ-ロテンシン線維終末の分布がチロジン水酸化酵素(ド-パミンニュ-ロンのマ-カ-として)のそれとは完全に一致せず、霊長類では下位ほ乳類とは異なりド-パミン・ニュ-ロテンシンの共存は乏しいことを示唆した。また、私たちはソマトスタチン合成ニュ-ロンの形態学的特徴とその細胞体の分布も明らかにしたが、霊長類の大脳皮質には3種類の細胞体が存在し、複雑な終末様構造が存在することを証明した。 (2)一方、大脳辺縁系の中で中脳ド-パミンニュ-ロンの支配を受けている側坐核におけるペプチドの分布に特徴があり、隣接する線条体とは異なる終末構造の分布を示したのはサブスタンスPやニュ-ロテンシンであり、他方エンケファリンやソマトスタチンなどペプチドは線条体の支配様式と類似することを免疫組織化学的に示した。
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