研究概要 |
1.はじめに 1987年Egelandらは感情障害と11番染色体短腕との、また1988年Sherringtonらは分裂病と5q11ーq13のマ-カ-との連鎖を報告した。われわれは機能性精神症障害と11番染色体長腕のマ-カ-との連鎖を検討したのでこれを報告する。 2.対象と方法 分裂病多発家系2家系(K家系およびM家系)の構成員のうち同意の得られた30名に対して(罹患者17名、非罹患者13名)を対象とした。対象者については研究者のひとりがSADSーLをもちいて構造面接をおこなった。罹患者17名の診断内訳は、分裂病11名、分裂感情病および双極性感情障害おのおの2名、特定不能の機能性精神障害および定型うつ病おのおの1名であった。対象者について採血し通常の方法によってDNAを抽出した。DRD2座位についてはサザンブロッドによってTeq1の多型を、他の8つの座位については、PCRによる増幅DNAをもちいて、TYR座位のMbolによる多型、PBGーD座位における4つの制限酵素による多型、CD3D,D11S35,D11S490,INT2,D11S420の座位におけるミニサテライト反復多型を検索した。 3.結果 D11S35以外のすべてのマ-カ-について連鎖の証拠は見いだせなかった。正のロッド値はD11S35で1.49の値を得られた。共同研究者ギルが同じ方法でおこなった英国21家系156名の連鎖分析結果と合計するとロッド値は統計的に有意とされる3を越えた。 4.考察 我々の結果から仮想分裂病感受性遺伝子とD11S35座位との連鎖が示唆されたが、共同研究者の英国での結果と合わせると、この連鎖は統計的に有意となった。したがって仮想分裂病感受性遺伝子の一部はD11S35座位近傍にあることが示唆された。
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