研究課題/領域番号 |
02454297
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎮西 恒雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (20197643)
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研究分担者 |
米沢 卓実 東京大学, 医学部, 助手 (50221677)
阿部 裕輔 東京大学, 医学部, 助手 (90193010)
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キーワード | 光化学療法 / 太陽光 / 癌治療 / ヘマトポルフィリン |
研究概要 |
本年度は、昨年度開発した太陽光線集光装置を用いて担癌ラットで光線力学的癌治療実験を行なった。 1.集光装置の性能 集光装置は赤外フィルタ-を通して波長を制限した太陽光をまず主鏡で直径180mmの受光面積から18mmに集光し、平均1.1Wの光出力が得られた。快晴で太陽高度が高く、空気中の塵埃が少ない条件では、最高2.3Wの光出力があった。さらに、コリメ-タで直径0.9mmの光ファイバに導光した。ファイバ出力端で平均0.26Wの光出力が得られた。太陽の追尾は、初期調整後約5時間で光出力が半減した。その間ほぼ平均的に光出力は減少した。 2.担癌ラットの作成 担癌ラットは、乳癌系癌細胞をラット下背部皮下に移植し、移植後約1週の後平均2.0cm×1.5cm、高さ1.0cmに癌が増殖したものを用いた。ラットを1)ヘマトポルフィリンを投与し、太陽光を照射する光線力学的治療群、2)ヘマトポルフィリン投与のみを行なうヘマトポルフィリン投与群、3)太陽光照射のみを行なう太陽光照射群の3群に分けた。光線力学的治療群、ヘマトポルフィリン投与群ではヘマトポルフィリン4mg/kgを照射24時間前に腹腔内投与を行なった。 3.集光した太陽光線の照射による光線力学的治療 集光した太陽光を担癌マウスの癌組織に照射し、癌組織に与える影響を病理組織学的に観察検討を行なった。照射は、皮下にある癌組織に皮膚を通して30分間行なった。照射直後は、光線力学的治療群、太陽光照射群ともに著明な変化は見られなかった。照射24時間後から、光線力学的治療群で、癌の縮小が観察され、照射後1週で癌組織は半減〜ほぼ消失した。組織学的には、癌組織の壊死と白血球浸潤が見られた。
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