半導体レーザーを用いた静脈およびリンパ管吻合の有用性を検討した。 「対象と方法」用いたレーザー装置は、半導体レーザー(浜松ホトニクス社製、連続発振、波長830nm、接触型プローベ)で、ラットの大腿静脈を切断し4点支持固定後、出力60mWで2-5秒間プローブを接触させて吻合を行った。観察期間は最長16週とし、この間の組織学的検査を行った。手縫い吻合を対照とし比較検討した。また雑種成犬の後肢においてEvan'sBlueによって染色したリンパ管をその鼠径部で検索し、前壁を横切して3点支持下に吻合ラインをレーザー照射した(照射条件、30-60mW、2-3秒)。 「結果」手縫い吻合法の2週間後の組織像では、吻合部の血管内膜に繊維性増殖が認められ、縫合糸周辺に異物反応がみられた。これに対してレーザー吻合では、血管内膜の繊維性増殖はほとんどみられず、内皮細胞の被覆は完全で異物反応も少なく血管中膜の層構造は良好に保たれていた。16週までの観察期間で、レーザー吻合では95.0%、手縫い吻合では92.5%と両群とも高い開存率を示した。リンパ管吻合では開通直後に色素の漏出がみられるなどなお手技上の問題点を残している。さらに組織学的検討では内腔を円形に保ったままの固定に困難性があり、照射部の組織学的観察は不十分な現状である。 「結論」レーザー吻合は縫合糸が少なく、組織学的に生理的な創傷治癒が得られ、従来の手縫い吻合に比べてより合理的な吻合法であり、血栓の生じ易い静脈吻合に適していると思われる。しかし、リンパ管吻合については、その基本的な微小血管吻合のテクニックに困難性があり、壁の融解や収縮、穿通が生じやすく、動脈や静脈とは違った何等かの工夫が必要であると思われ、現時点ではリンパ管の吻合に関しては満足すべき結果は得られていない。
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