研究課題/領域番号 |
02454301
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中村 達 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00090027)
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研究分担者 |
馬場 正三 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40107818)
室 博之 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (20107824)
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キーワード | 肝移植 / Fcリセプタ- / ヒアルロン酸 / 拒絶反応 |
研究概要 |
以下の3群でラット肝移植を行った。allcgraft(DAーLEW)を拒絶群、isograft( LEWーLEW)を対照群、さらに拒絶群に手術直後よりFK506を1kg/kg/日投与したFK群を作成した。類洞内皮細胞機能として、血中ヒアルロン酸濃度(HA)の測定及び移植肝にて類洞内皮Fcレセプタ-(FCR)を染色し、以下の結果を得た。 1)血中ヒアルロン酸濃度:HAは類洞内皮細胞により選択的に代謝されることより、内皮細胞機能の指標とした。拒絶群は術後3日目84.4±24.2ng/mlであり、対照群63.3±30.7ng/mlに比し、有意に上昇し(P<0.05)、その後7日目をピ-クに漸増した(P<0.01)。対照群では1日目より漸減した。FK群では3及び5日目では拒絶群と差はなく、対照群に比し高値であったが、10日目には対照群レベルにまで改善した。 2)類洞内皮FCレセプタ-:類洞内皮細胞はFcRを介して血中免疫複合体を代謝している。内皮FcRを免疫組織化学にて染色し、染色強度を観察することにより、FcR活性を比較した。拒絶群では3日目より染色強度が低下し、5日目以降消失した。対照群では1日目には染色性がやや低下したが全経過を通じてよく保持されていた。FK群3日目は拒絶群と同様に染色性が低下したが、5日目以降上昇し、10日目には対照群と差がなく、術前の染色強度にまで回復した。 以上より、類洞内皮細胞機能は肝移植拒絶早期より障害を受け、感染防御のみならず、肝血液クリアランス全体に悪影響を与えると考えられた。免疫抑制剤FK506投与により、術後早期の内皮細胞機能改善はみられなかったが、致死的な障害を回避し、その後対照群のレベルにまでの回復を得た。
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