ハイブリッド型人工皮膚の開発研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02454303
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 一色 信彦 京都大学, 医学部, 教授 (50025566)
• 研究分担者: 鈴木 茂彦 京都大学, 医学部, 講師 (30187728)
• キーワード: 人工皮膚 / コラ-ゲン / グリコサミノグリカン / 創被覆材

研究概要

1.人工皮膚の臨床応用を進めるにあたり、取扱を容易にし保存性を高めるため-135°の超低温で凍結後、再凍結乾燥化することに成功した。人工皮膚の臨床応用は順調に進展しているが感染に弱いことが欠点として認められた。
2.徐放性抗生物質を組み込んだ人工皮膚の臨床応用を行った。
3.人工皮膚内層部へのGAG添加の意義を明かにするために、コラ-ゲンスポンジ内にコンドロイチン6硫酸、デルマタン硫酸、ヒアルロン酸など各種のGAGを添加した材料とGAG無添加の材料を作成し、おのおのの構造、物理的強度、化学的強度などの相違を調べた。GAG添加によりコラ-ゲンスポンジの化学的、機械的強度の増加が認められた。
4.さらにin vitroおよびin vivoの実験で、各種のGAGを添加した材料とGAG無添加の材料の内層スポンジ構築内への線維芽細胞の侵入増殖度の比較を行った。培養線維芽細胞を用いたin vitroの実験ではGAG添加によって線維芽細胞の増殖の抑制が認められた。in vivoの実験ではデルマタン硫酸の添加によって、コラ-ゲンスポンジの吸収の遅延が認められたものの、繊維芽細胞や毛細血管の侵入増殖にはGAG添加による著明な影響は認めなかった。
5.培養表皮細胞を人工皮膚内層のコラ-ゲンスポンジの上に播種し、重層化させる基礎研究を行った。動物実験は今後行う予定である。

研究成果

• [文献書誌] Suzuki,S.,Matsuda,K.,Isshiki,N.,et al.: "Experimental study of a newly developed bilayer artificial skin." Biomaterials.11. 356-360 (1990)
• [文献書誌] Suzuki,S.,Matsuda,K.,Isshiki,N.,et al.: "Clinical evaluation of a new bilayer“artificial skin"composed of collagen sponge and silicone layer." British J.Plast.Surg.43. 47-54 (1990)
• [文献書誌] 松田 和也,鈴木 茂彦,一色 信彦他: "広範囲色素性母斑の治療" 日形会誌. 10. 627-635 (1990)
• [文献書誌] 松田 和也,鈴木 茂彦,一色 信彦,他: "再凍結乾燥人工皮膚" 熱傷.
• [文献書誌] Matsuda,K.,Suzuki,S.,Isshiki,N.et al.: "Influence of glycosaminoglycan on the collagen sponge component of a bilayer artifical skin." Biomaterials.11. 351-355 (1990)
• [文献書誌] Matsuda,K.,Suzuki,S.,Isshiki,N.et al.: "A bilayer“artificial skin"capable of sustained release of an antibiotic." British J.Plast.Surg.
• [文献書誌] Matsuda,K.,Suzuki,S.,Isshiki,N.et al.: "Development of a new artifical skin which permits sustained release of an antibiotic." Biomaterials.
• [文献書誌] 鈴木 茂彦,松田 和也: "人工皮膚:創傷の治療,最近の進歩,森口隆彦編" 克誠堂出版社,