研究概要 |
本研究の成果は、口演、或は出版物を通じて現在まで公表中である。成果に関連した論文の写しを次頁以降に挿入する。 成果を以下に要約する。 1.イヌ、ラットを用いた肝大量切除モデルでは、残存肝動脈血行の有無は肝エネルギー代謝の回復にわずかに影響するのみで、耐術性を左右しない。しかし黄疽肝の大量切除、或は肝移植モデルでは動脈血行開存の良否がエネルギー代謝の回復に大きく影響し、耐術性も左右した。 2.肝動脈の再建血行の維持はいくつかの要因に支えられる。 i)手技的にはmicrosurgeryが有効である。 ii)heparin,抗血小枝薬のうち、後者の有効性は低い。肝エネルギー代謝の示標である動脈血中ケトン体比に与えるheparinの影響は軽微でありcriticalな肝外科においも安全に使用出来る。 iii)消化液汚染による再建部破綻がfibringlueの吻合部被覆によって効果的に回避されることは、静脈グラフト、単純吻合のいずれにおいても、ラットを用いた実験で確認されたが、collagenの混入による増強効果はみとめられなかった。 3.ラット肝大量切除によりリンパ球、白血球のエネルギー代謝は著しく低下し、肝大量切除におけ創傷治癒機転の障害を推論させた。 顕微鏡下ラット大動脈のレーザー吻合は、用糸吻合に比べて強度の点で遜色なく、所要時間の点では前者が短い。肝大量切除下の吻合強度は両者とも低下するが両者間には差がみとめられず、肝外科での肝動脈再建におけるレーザー吻合の有用性が示唆された。
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