研究概要 |
新生児乳児におけるエネルギ-代謝や蛋白代謝物の連続測定を行うべく、安定同位元素 ^<13>Cを用いた呼気ガス分析がベッドサイドで可能なシステムを確立するため、昨年度は、フ-ド方式(Canopy)による間接カロリメトリ-と共に呼気中 ^<13>CO_2 enrichmentを同時に連続測定する可動式 ^<13>CO_2呼気連続分析装置を開ばし、本システムの精度をin vivo,in vitroで確認し、乳幼児においても測定可能な事を示した。 本年度はフ-ド方式による本システムを用い、乳幼児における呼気テストとして如何なる標識物が利用可能であるのか、またその投与条件等を検討した。健常乳幼児において、 ^<13>Cーmethacetinを3ー5mg/kg経口投与すると、代謝された^<13>CO_2の排泄は15ー20分を頂値として1時間で約20%の ^<13>Cが呼気中に排泄され、肝マイクロゾ-ム機能検査として臨床応用可能と考えられた。また1位が構成された中鎖脂肪酸のoctanoic acidやtrioctanoinを10ー20mg/kg、消化吸収障害のない乳幼児に投与すると50分後を頂値として、3時間で約40%の ^<13>Cが呼気中に回収され、脂肪の消化吸収試験として利用できることを示した。静脈栄養下にある患児に、標識された重炭酸をbolusに静脈投与すると、直ちに呼気 ^<13>CO_2atom%の上昇がみられ、そのenrichmentの減衰回帰曲線より、compartment modelによるbicarbonateプ-ルの評価が可能なことなど、本測定系を用いることにより、乳幼児を対象とした呼気テストが容易に行えることを示した。質量分析計を用いた場合に比し測定精度は劣り、蛋白キネティクスの評価には不適である可能性が高いが、数時間内に呼気の ^<13>CO_2 enrichmentが得られる標識物質の代謝を、自然呼吸下の乳幼児で連続測定できるという利点を生かし、本測定系が非浸襲検査として臨床応用可能なことを示すことができた。
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