平成3年度に予定された研究は以下の如く順調に達成されると同時に新たな知見せ得られた。 (1)パ-フォリンインヒビタ-(PーI)の精製ラット血清を濃縮後、研安沈澱を行ない更にHPLCおよびHydroxy lapatiteから59にて順次精製を行った.その精製度はHPLCにて22、O/mgと精製を重ねるにつれて、PーIの力価が強くなった。その推定分子量はSDSゲル電年泳動で500KDであるモノマ-であることが明らかとなったが、これはHPLCカラムの465KDのピ-クに一致した。 (2)PーIの機能的検討 パ-フォリンによる細胞傷害性を次の二段階で検討した。 1)結合反応への影響:PーIはパ-フォリンの膜結合を5vg/mlの濃度以上で100%抑制した。 2)孔形成反応への影響:PーIはパ-フォリンの孔形成を2.5vg/mlの濃度にて抑制したが、5vg/ml以上の濃度においても約20%抑制しか得られなかった。 (3)PーIによる移植腎生着への延長効果 LEWラットをレシピエントとし、BNをドナ-とした同種腎移植術を行い、PーIを術後7日間静脈内投与したところ、2mg/kg/day投与群では14、5土2、5日、4mg/kg/day投与群では22、9土7、2日と無処置コントロ-ル群の7、9土1、7日に比較して、有意に生着日数の延長が認められた。また合併症も無かった。 これらのことより、精製されたPーIは移植腎の生着日数延長を有することが明らかとなった。
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