研究分担者 |
津久井 元 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
伊豆 稔 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
石丸 正寛 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
後藤 振一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (40186888)
大盛 芳路 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (60185395)
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研究概要 |
ラットに門脈頸静脈シヤントを作成して肝門部遮断を施行し、遮断解除後の生存率を検討した。正常肝ラット,硬変肝ラット共にカルシウム拮抗剤、カルモジュリン拮抗剤を投与した群は有意に生存率が改善した。また、正常肝ラット,硬変肝ラット共にカルモジュリン拮抗剤、カルシウム拮抗剤の投与によって虚血後のATPの減少が加速され、ATPが速く減少するものほど虚血解除後の生存率が大きかった。これは、HPLC, ^<31>PーNMRいずれの方法でも同様の結果であった。細胞の生命維持のポイントは細胞内外の電位差の維持にあると考えられ、ATPを有効に利用し、電位差の維持が出来るものほど虚血に対しては耐性が強いと考えられた。また、カルシウム拮抗剤,カルモジュリン拮抗剤が虚血時の肝細胞障害の軽減に有効であるのは、これら活性化したカルモジュリンがフオスフオリパ-ゼA2を活性化する段階を抑制し,細胞内のFFAの増加を妨げるためであろうと考えられた。すなわち,細胞内に増加したFFAはNa^+-K+ATPaseを抑制し、ATPの有効利用を妨げるためである。これらに関しては、乳酸の測定,31PーNMRによる各種パラメ-タ-の測定により傍証が得られた。ところが,虚血細胞でのカルシウムの増加に関しては5FBAPTAをラットに投与してNMRにて測定したところ、正確な測定が不可能であった。その理由として1つは、NMRの磁場強度が弱いこと,もう1つは5FBAPTAの溶解剤が強毒性であり多量に投与できないことにあった。また蛍光光度計を用いた細胞内カルシウム測定装置では10ー6molまでの濃度しか測定できず,虚血時の細胞内カルシウムに関しては現在の所満足のいく結果は得られていない。
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