研究課題/領域番号 |
02454314
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
内山 昌則 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (40151906)
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研究分担者 |
内藤 真一 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (90143122)
岩渕 眞 新潟大学, 医学部, 教授 (00018326)
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キーワード | 小腸大量切除術 / 術後小腸運動 / 空置逆転吻合術 / 小腸移植術 |
研究概要 |
小腸大量切除後自己残存小腸のみで消化吸収及び腸管運動に十分な機能を維持できる方法を研究し、さらに小腸大量切除後の同種での小腸移植術の可能性と生着率向上の手段を見いだすため本研究を行った。 本年度では犬を用いて実験的に80%の小腸大量切除術を行い、小腸吻合や同種間空置的小腸移植術を行い、術後の腸管運動を双極電極あるいはフォ-ストランスジュサ-を用いて検討した。術後、短期(1カ月)の腸管運動を比較検討することにより、小腸大量切除術後の基礎的な腸管運動を検討し、さらに小腸移植術後の移植腸管の腸管運動を検討した。 1)小腸大量切除術(約80%切除)後、同種間空置的小腸移植術を行い、宿主腸管運動と移植腸管運動を検討した。今回大量切除術、移植術、および電極やフォ-ストランスジュ-サ-縫着術を同時に行った。術後早期は腸管運動は麻痺状で、筋電図上は低電位でまとまった強収縮は現れず、収縮曲線上も時に低い収縮が不規則にみられるのみで、phaseIIIの強収縮群は現れなかった。また宿主腸管も同様に低い不規則な収縮が繰り返された。従って腸管移植術直後の早期は、宿主と協調しない独自の腸管運動しか記録できなかった。この早期に移植術後の犬は、血管吻合の閉塞や感染症のため実験続行が不可能となった。 2)この結果は、血管吻合や移植術後の管理の技術的な問題が考えられた。そこで議論のまだ多い小腸大量切除術後の腸管運動自体について、まず明らかにすることとした。小腸大量切除術後早期の腸管運動では、空腹期の十二指腸MMCの発生周期が延長し、終末回腸への伝率球が減少し、十二指腸から空腹への伝播時間が延長し、伝播速度が有意に遅延していた。食餌投与後の、十二指腸MMCの発生までの時間が著明に延長していたことと合わせ、術後早期に腸内容を保持しようとする合目的代償性小腸運動があると考えられた。
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