研究概要 |
1.GSH,GSSGの高速液クロ(HPLC)による測定法を確立した。 2.実験(1)目的:腸管阻血及びうっ血による肝細胞障害因子に対するauto profectiveな病態変化をグルタチオン代謝に焦点をあて腸肝・臓器相関の面から検討した。 (2)方法:Wistar系ラット(200〜250g)を用いた。実験群工;上腸間膜動脈(SMA)30分遮断後再灌流群。実験群II;上腸間膜静脈(SMV)30分遮断後再灌流群に分けた。経時的に肝組織(cytosol)及び胆汁中のGSH・GSSG,SMV中のアミノ酸分析を行った。 (3)結果:実験群Iの肝GSHは7.59(平均,n=6)nmol/mg肝とコントロ-ル群の6.29に比し有意に(p<0.05)上昇しており,実験群IIは8.40とさらに上昇していた。胆汁中のGSHは実験群Iが5.70μmol/ml胆汁と実験群IIの4.59,コントロ-ルの3.75に比して高く,GSSGは有意な変化を示さなかった。SMV中のアミノ酸分析では,血流再開後2分で,実験群Iではコントロ-ル群に比し,グリシン,グルタミン酸の上昇を認めた。一方,SMV遮断による肝エネルギ-産生能は,SMA遮断に比し,より著明な低下を認めた。 (4)考察:腸管うっ血モデルにおいて肝ミトコンドリアのATP産生能の低下にもかかわらず,肝GSHの上昇を示したことは,2次的な門脈血アミノ酸組成の変化により代償的にATP indipendentなGSH合成が亢進すること,一方,腸管阻血モデルでは胆汁中GSHの上昇が認められたことは,うっ血とは異る機序の存在が示唆され,腸管うっ血・阻血に対するauto cyto protectiveなGSH反応系の異った機構が作用する可能性が考えられる。
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