研究概要 |
設備備品として予定していたポリグラフ、アンプ類、人工呼吸器、気管支ファイバ-コ-プ、吸引器を全て購入した。また、ニホンザル用の小型の肺保存容器を製作した。 製作した肺保存容器は、今までに作成したイヌ用の肺保存容器を改良して、従来通りの心肺ブロックによる両肺保存以外にも両肺ブロック(心臓を取り除いた)、片肺ブロックでも保存を行えるように、縦隔及び肺門部の諸器官を支えるテ-ブルを可動式で着脱できるようにした。テ-ブルを交換することにより、3タイプの臓器グラフトに対応できる肺保存装置が作成できた。 移植臓器の保存実験を行うためには、実験期間中は確実に拒絶反応が抑制されるように十分な免疫抑制が必要である。本研究では保存実験の後も、長期間の生存が得られるような的確な免疫抑制方法の確立が重要である。 サルに置ける免疫抑制方法は、今までの実験では筋肉内及び皮下注によりcyclosporine,azathioprineを投与してきた。この方法にても移植後1ヶ月以上の移植肺の生着は可能であった。しかし、この方法では、cyclosporineの血液中の濃度の上昇が遅く問題が多かった。 そこで、移植前に胃瘻を造設して、そこから投与するように方法を変更した。この方法では、投与直後より血液中の濃度の上昇が良好である事が確かめられた。 現在この免疫抑制方法で移植を行い、長期生存の可能性を検討中である。
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