研究概要 |
先天性横隔膜ヘルニア(CDH)に随伴する肺低形成に対する胎児治療の効果を知るべく家兎CDHモデルを作成し検討した。 〈方法〉肺発生に、偽腺様期に相当する胎齢22日に横隔膜穿破法によりCDHモデルを作成した。管状期に相当する胎齢26日にヘルニア修復(胸腔内嵌入臓器整復および横隔膜欠損部閉鎖)を行った。ヘルニア非修復群16例,同腹の対照群15例およびヘルニア修復群9例,同腹の対照群10例について検討した。検討項目は,体重,肺重量/体重比,肺組織中DNA量,肺組織中サーファクタント(DSPC)量,末梢気腔の組織計測,電顕によるII型細胞数とラメラ体計測などとした。 〈結果〉【.encircled1.】体重は非修復群,修復群,各対照群の間で差はなかった。【.encircled2.】肺重量/体重比,肺組織中DNA量は非修復群,修復群とも対照群に比べ有意に減少したが、修復群は非修復群に比べ有意に増加していた。【.encircled3.】杯重量当りのDSPC量は、手術群が対照群に比べむしろ増加していた。非修復群と修復群の間には差はなかった。【.encircled4.】相組織計測では、修復群の末梢気腔の大きさ,壁の厚さとも非修復群に比べ増加していたが、末梢気腔の表面積には差はなかった。【.encircled5.】II型細胞の数は手術群が対照群よりも多かったが、非修復群と修復群の間に差はなかった。ラメラ体の数、平均面積および細胞質に占める面積の割合について各群間に差はなかった。 〈結論〉【.encircled1.】家兎胎仔CDHモデルに関し,CDHに対する胎児治療は、肺重量の増加,肺構成細胞の増加さらに末梢気腔の分化発生を促進し、CDHに随伴する肺低形成改善に有効である。【.encircled2.】高度肺低形成の予測し得るCDH症例に対し胎児治療は選択すべき一法と思われる。
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