研究課題/領域番号 |
02454325
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古瀬 彰 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (70010163)
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研究分担者 |
宮入 剛 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40200117)
五十嵐 寛 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30193171)
中島 淳 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90188954)
マティソン 恵 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20164212)
川内 基裕 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00152918)
進藤 剛毅 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70092244)
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キーワード | 左肺同種同所性移植 / 日本猿 / 急性拒絶反応 / FKー506 / 胸部X線所見 / 肺野不透明化 / 病理組織所見 / 肺血管周囲円形細胞浸潤 |
研究概要 |
[<目的>___ー]心肺同時移植における拒絶反応の発現の解析ならびにその早期診断法の開発をめざすにあたり、本年度は左片肺移植実験を施行し、肺における拒絶反応の対象デ-タを得た。また、免疫抑制剤の新薬であるFKー506(以上FK)を投与し、その効果を分析した。 [<方法>___ー]雑種オス日本猿に対し、同種同所性左肺移植を施行した。術後FK投与群(A群:n=7)には術後第0ー6病日にFK0.5mg/kg,それ以後0.15mg/kgを筋注した。非投与群(B群:n=7)には免疫抑制剤を使用しなかった。術後適宜胸部X線撮影および移植肺の開胸生検・剖検を施行し、拒絶反応を病理組織学的に診断した。[<結果>___ー]術後A群では18日ないし80日の生存を得、最長例はなおも生存中である。B群は5日ないし35日の生存を得、最長例は拒絶反応の完成による移植肺の完全壊死を確認した後犠性死せしめた。胸部X線所見では、B群ではいずれも術後第3病日頃より移植肺陰影の増強を認め、5ー7病日でほぼ完全に不透明化し、その後改善の傾向を認めなかったのに対し、A群では第7〜14病日で肺陰影がピ-クに達した後、再び肺野は次第にclearになった。病理組織所見では、B群では第3病日より肺血管周囲に円形細胞浸潤が認められ、第5ー7病日では浸潤が高度となり、肺胞壁にも細胞浸潤を認めた。第14病日以後は移植肺は壊死に陥り、拒絶が完成したと判断した。一方A群では肉眼上移植肺表面は桃色で含気は十分であり、ヘマトキシリンーエオジン染色組織所見では、術後7病日以後も肺血管周囲円形細胞浸潤は殆ど認められず、また肺胞壁の細胞浸潤・肥厚も認めらず、肺胞構造が保たれていた。[<結論>___ー]日本猿の左肺移植実験においてFKー506の十分な免疫抑制効果を認めるとともに、心肺移植における肺組織拒絶の分析のための、肺単独移植の拒絶像という比較対照デ-タを得ることができた。
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