研究分担者 |
宮入 剛 東京大学, 医学部(病), 助手 (40200117)
中島 淳 東京大学, 医学部(病), 助手 (90188954)
関口 昭彦 東京大学, 医学部(病), 助手 (20187842)
川内 基裕 東京大学, 医学部(病), 助手 (00152918)
進藤 剛毅 東京大学, 医学部(病), 助教授 (70092244)
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研究概要 |
肺移植後の胸腔内洗浄液による拒絶モニタリングについて検討した。 目的:肺移植後拒絶反応診断法としての胸腔内洗浄液(Pleural lavage fluid,以下PLF)中リンパ球表面抗原解析の有用性の検討を行った。 対象と方法:日本猿をレシピエントとして片肺同所性移植を施行した。<Allo>___<N=7>群および<Xeno>___<N=5>群(ドナ-はアヌビスヒヒ)の2群を作成し、両群とも免疫抑制FK506を毎日0.5mg/kg(0ー6POD)、0.15mg/kg(7POD以後)筋肉内投与した。術後肺生検の直前に手術側のPLFを経胸壁的に採取し、PLFと末梢血(PBL)中リンパ球のsubset解析をフロ-サイトメトリ-(FCM)にて行った。抗リンパ球,monoclonal抗体には日本猿に交差反応性を有する抗ヒトmonoclonal抗体CD2,CD4,CD8,CD20を使用した。 結果:Allo群で5ー182日、Xeno群で7ー14日の生存を得た。PL採取による大きな合併症は無かった。各測定におけるCD8陽性率はPLF40.6%,PBL42.6%,PLFとPBL値の相関係数は0.642,CD4陽性率はPLF38.7%,PBL40.8%,PLFとPBL値の相関係数は0.292と、平均値ではPLFとPBL間に有意差はないが、相関係数は低く、両者は独立した指標であることが示唆された。術後のPLF中CD4陽性率は次第に低下する傾向にあり、特にXeno群で顕著であった。CD8陽性率は、逆にいずれの群でも漸増する傾向にあった。CD2,CD20陽性率については経過中大きな変動を認めなかった。Xeno群では病理所見上中〜高度血管周囲単核球浸潤・肺胞壁浸潤・DIC様肺胞内の出血等急性拒絶反応にともなう多彩な変化を認め、反応が高度なものほどPLI中のCD4の減少が顕著である傾向にあった。 結語:日本猿による同種および異種肺移植において、移植側PLF中リンパ球のFCM解析を施行した。PLFは末梢血とは独立した指標であり、また移植経過につれて、CD4減少およびCD8増加を認めた。この傾向は特に異種移植について顕著に認められた。
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