研究課題/領域番号 |
02454327
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 好史 京都大学, 医学部, 助教授 (80116392)
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研究分担者 |
荻野 均 京都大学, 医学部, 研究生
粟津 篤司 京都大学, 医学部, 研究生
小林 彰 京都大学, 医学部, 研究生
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キーワード | エルビウムヤグ / レーザー / 光ファイバー / ジルコニウム系フッ化物ガラス / 冠動脈形成術 |
研究概要 |
Er:YAGレーザーの発振波長である2.94μmは水の吸収帯に一致している。生体組織は多量の水分を含んでいるため、微小領域の切除、切開、穿孔等を行う場合、水に対するレーザー光の吸収特性が重要である。Er:YAGレーザー装置は 多モード発振、最大単発エネルギー 400mJ、パルス幅400μsec、繰り返し周波数5〜10Hz、平均出力4W、10PPSである。使用した光ファイバーはジルコニウム系フッ化物ガラスで コア径400μm、長さ2mで、ファイバー曲げ半径50mm、ファイバー透過率90%であった。水照射による蒸散水量は多いが、血液照射による溶血は認められなかった。家兎動脈、家兎心筋、ヒト大動脈(剖検時)に種々の条件で照射し、組織の切除や周辺組織に対する反応を検討した。肉眼的、組織学的共に蒸散部周辺は平滑でクリアカットな断面を呈した。照射野周囲組織に対する熱変性はきわめて軽微に抑えることができた。恐らく一次治癒に近い創傷治癒過程も期待される。 冠動脈に対するレーザー血管形成術は 冠動脈は細くかつ蛇行、分枝して走行し、また心拍動でレーザーブローブと血管の同軸性が保ちにくく穿孔の危検性が高く、ガイドワイヤー、血管内視鏡や超音波ガイダンスの使用等問題が多い。今後の課題としたい。 レーザー照射により、動脈硬化病変のみを選択的に蒸散する方法はいまだない。しかし將来脂質親和性の高い光増感物質で用いる光化学反応による治療 photodynamic therapy が応用できれば、冠血管への悪影響はより少なく、より確実に効果が期待できるだろう。
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