研究課題/領域番号 |
02454329
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 暉 大阪大学, 医学部, 教授 (00028614)
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研究分担者 |
田川 邦夫 大阪大学, 医学部, 教授 (40028296)
澤 芳樹 大阪大学, 医学部付属病院, 医員
谷口 和博 大阪大学, 医学部, 助手 (90171842)
金香 充範 大阪大学, 医学部, 助手 (70169580)
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キーワード | 開心術 / 再潅流障害 / 白血球除去 / カルシウム / indo1 / terminal cardioplegia |
研究概要 |
本年度は、terminal cardioplegia法の効果に関しての基礎的研究を行い、以下の結果を得た。1)蛍光カルシウム指示薬indo1をラット潅流心に応用することにより、terminal cardioplegia施行時の細胞内カルシウム濃度変化をreal timeかつbeat to beatに観察した。その結果、通常の再潅流では虚血中に上昇した細胞内カルシウムは再潅流約15分後以上まで正常化しないが、terminal cardioplegia施行により、再潅流後5分以内に正常化することが明かとなった。2)再潅流液の至適pHに関する基礎的検討として、酸性溶液による再潅流の効果を検討した。pH6.0の酸性溶液で再潅流することにより虚血中に上昇した細胞内カルシウムは通常の再潅流に比してより早期に正常化した。3)再潅流時の細胞内カルシウム動態におけるNaーH交換機構の役割を検討するため、NaーH交換機構の阻害剤であるAmilorideの再潅流時投与の影響について検討した。Amiloride投与によっても虚血時に上昇した細胞内カルシウム通常の再潅流に比してより早期に正常化し、再潅流後時における細胞内カルシウム異常高値の遷延の原因としてNaーH交換機構が関与していることが示唆された。4)再潅流障害に及ぼす白血球の影響について検討するため、白血球除去血による再潅流及び白血球凝集抑制剤DNー9693の再潅流時投与の効果について検討した。白血球除去血による再潅流、DNー9693の再潅流時投与のいづれにおいても再潅流後の心機能は通常の再潅流に比して改善が認められ、超微細構造からみた検討でも白血球除去群、及びDNー9693投与群ではミトコンドリアの障害が少なかった。これらの結果より、terminal cardioplegia法が再潅流後の細胞内カルシウム動態を早期に改善すること、白血球が再潅流障害に関与していることが示された。また備品としては当初、細胞内カルシウム測定装置を購入する予定であったが、分子生理化学教室現有のもので測定可能となったため予定を変更し、data処理用としてこの装置に接続可能なIBM社製のcomputerを購入した。
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