研究課題/領域番号 |
02454329
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 暉 大阪大学, 医学部, 教授 (00028614)
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研究分担者 |
田川 邦夫 大阪大学, 医学部, 教授 (40028296)
谷口 和博 大阪大学, 医学部, 助手 (90171842)
金香 充範 大阪大学, 医学部, 助手 (70169580)
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キーワード | 開心術 / 虚血再潅流障害 / terminal cardioplegia / 白血球除去血 / 細胞内カルシウム濃度 |
研究概要 |
平成3年度の研究は、ラット潅流心モデルを用いterminal cardioplegia施行時のエネルギ-代謝、細胞内カルシウム動態を通常の再潅流施行時との比較において検討すること、及び家兎血液潅流モデルを用いleukocyte depleted terminal cardioplegia法の有用性を検討すること、の2点について重点的に行い、以下の成果が得られた。 (1)ラット摘出潅流心を虚血状態とすると、虚血開始10分後より細胞内カルシウム濃度は上昇傾向を示した。虚血20分に引き続く再潅流により細胞内カルシウム濃度はさらに一過性の上昇を示し、再潅流10分後にほぼもとのレベルに戻ることが判明した。再潅流時にterminal cardioplegiaを施行することにより通常の再潅流に比し良好な心機能の回復が得られるとともに、通常の再潅流時に観察されたカルシウム濃度の一過性上昇が抑制され、より早期に細胞内カルシウム濃度が正常化することも明かとなった。 (2)家兎摘出心の血流潅流モデルを用い、白血球除去血によるterminal cardioplegia(leukocyte depleted terminal cardioplegia)の有用性について検討した。その結果、正常心の虚血再潅流時におけるleukocyte depleted terminal cardioplegiaの効果は白血球除去を行わない通常のterminal cardioplegiaと明かな差を認めなかったが、高度虚血心などの不全心に応用した場合にはterminal cardioplegiaに白血球除去を併用したものはterminal cardioplegia単独の場合よりも良好な心機能に回復を示した。 (3)leukocyte depleted terminal cardioplegiaを臨床に応用し、心肥大を伴う重症弁膜疾患、術前から大動脈内バル-ンパンピングを要するような重症虚血性心疾患例においてその有用性が示された。
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