研究課題
循環補助システムのエネルギ-源としての骨格筋及び刺激装置の検討として、成山羊を用い、広背筋を遊離後胸背神経および広背筋の末梢に電極を縫着した。電気刺激は、既存の製品を改造した刺激装置により、初期の2週間はburst頻度30Hz、30回/分で刺激を行ない、2週間毎に刺激回数を増し、1〜2カ月間広背筋の刺激を行った。その後広背筋を剥離し、支配神経及び血管を温存し、広背筋を胸腔内へ移した。この筋肉フラップを心臓周囲に巻きつけ、自己心と同期させて収縮を行なったところ、自己心に拡張障害はみられなかった。収縮期の補助効果については現在検討を続行している。また、この筋肉フラップをサック型ポンプに巻きつけ、模擬循環回路で検討したところ、低圧である右心系の補助として有効と考えられた。バイオメカニカル・ポンプシステムのin vitro構築として、まず多孔質・連通孔人工心臓用マトリクスの作成を試みた。セグメント化ポリウレタン溶液に平均粒径150〜500μmまたは500〜1000μmのNaclの結晶を混入させ、キャストフィルムを作成し、これを湯洗することによりNaCl結晶を溶出させ、多孔質・連通孔マトリクスを得ることができた。次に、このマトリクスを支持体として自己組織再構築させるための生体成分要素として、血管壁の組織小片と単離細胞のin vitroの培養に対する適性を検討し、山羊の血管壁細胞培養システムを確立した。現在、バイオメカニカルポンプの要素のin vitro構築を行うために、多孔質・連通孔マトリクス(人工“心内臓"マトリクス)に血管壁の組織小片をゲル化させて一体化し、in vitroの培養で形態の観察を行っている。
すべて その他
すべて 文献書誌 (1件)