研究分担者 |
藤田 毅 国立東静病院, 院長
小坂井 嘉夫 国立循環器病センター研究所, 病院, 医長
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00142183)
松田 武久 国立循環器病センター研究所, 生体工学部, 部長 (60142189)
高野 久輝 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (60028595)
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研究概要 |
自己組織と細胞で構築したバイオメカニカルポンプシステムのシステム要素として,骨格筋のエネルギー源としての能力をCardiomyoplasty(CMP)により検討した.正常心成山羊4頭の左広背筋に対し電気的トレーニングを6〜8週間行なった.その後,CMPを施行し,急性期において広背筋を刺激すると非刺激時に比ベ,肺動脈収縮期圧,右心拍出量,右心室駆出率は,上昇及び増加傾向を示したが有意差はなかった.左室収縮期圧及び左室収縮末期圧ー容積関係の傾き(Ees)には,変化をみなかった.今回の検討ではCMPによる右心機能への補助効果を認めた.バイオメカニカルポンプのin vitro構築の一環として,自己組織の再構築によるハイブリッド人工心内膜作成のため,山羊血管微小細片をコラーゲンゲルに包埋して培養した.3週間後には作業原理どおりゲル表面に血管内皮細胞の再構築をみた. in vivo構築として既製高porosity人工血管を使用し,コラーゲンに自己微小血管片を混入し,ゲル化させ人工血管に塗布した.これを成山羊の血管にグラフトすると,最長3カ月の観察期間において吻合部から人工血管中央部の内腔面に内皮化が観察された.この内皮細胞は,ゲル中の自己微小血管片より内腔面に遊走したもので,組織再構築による人工心内膜形成の可能性が示唆された.しかし,この人工血管周囲に左広背筋を巻き付けた実験では,骨格筋と人工血管は比較的容易に分離し,一体化した組織とするためには検討を要した.さらに山羊広背筋を用いチューブ状のポンプを作成し,模擬回路においてその拍出能力を検討したところ容量80ml,前負荷20mmHg,後負荷80mmHgにて920ml/minであり,右心補助には充分有用と考えられた.以上の検討よりバイオメカニカルポンプ開発の可能性が示された.今後は,セグメント化ポリウレタンを構造材としたバイオメカニカルポンプを作成し,その補助能力および抗血栓性を検討する必要がある.
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