視床下部破壊がリンパ球サブセットならびにnatural killer活性に及ぼす影響を調べる目的で、以下の実験を行った。まず日本チャ-ルズリバ-社から購入した12週齢前後の雄性Fisherラットを小動物固定装置に固定し、備品として購入したトルックスを用いて頭蓋に骨窓を設け、更に備品として購入したリ-ジョンジェネレ-タ-を用いて両側前視床下部を破壊した。その1ないし2週間後に、末梢血(PBL)、胸腺(THY)、脾臓(SPC)ならびに脳を摘出し、PBL、THY、SPCのリンパ球表面抗原サブセットを、Serotec社から購入した各種抗ラットリンパ球モノクロナル抗体を用いて、CD4、CD8、T cell receptor(TCR)α/βについてtwo colorでFACScanにて解析した。SPCのnatural killer活性はYACー1細胞をtargetとして ^<51>Cr遊離法にて測定した。その内脳の連続切片にて、組織学的に両側前視床下部が正確に破壊されている事の確認されたラットのデ-タのみを採用し、controlあるいはsham operation群と比較した。その結果PBLではCD4+CD8-、CD4-CD8+、CD4+CD8+、CD4+TCRα/β+、CD8+TCRα/β+の各細胞の比率およびCD4/CD8比に関して有意差は認めなかったが、THYではCD4+TCRα/β+およびCD8+TCRα/β+細胞の比率がいずれも有意に低下しており、SPCではCD4-CD8+細胞の比率が有意に上昇し、相対的にCD4/CD8比が有意に低下していた。一方natural killer活性は破壊後1週間で低下傾向がみられたが、より詳細なメカニズムを検討する為に、現在経時的な実験を継続中である。
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