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1991 年度 実績報告書

悪性グリオ-マの病態解明と化学療法効果増強に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 02454336
研究機関大阪大学

研究代表者

有田 憲生  大阪大学, 医学部, 助手 (80159508)

研究分担者 平賀 章壽  大阪大学, 医学部, 助手
大西 丘倫  大阪大学, 医学部, 助手 (70233210)
早川 徹  大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
キーワードbrain tumor / glioma / chemotherapy / invasion / extracellular matrix / oncogene / carcinogenesis / drug resistance
研究概要

1.悪性グリオ-マ細胞によるmotility factorの産生
悪性グリオ-マの浸潤メカニズムを解明するため、腫瘍細胞の運動性に着目し、グリオ-マ細胞が自己の運動能を高める因子を産生しているかどうかを、modified Boyden chamber assay法を用いて検討した。ラットC6およびヒトT98Gグリオ-マ細胞はそれぞれのconditioned medium(CM)中に自己の運動能を高める因子motility fatorを産生、分泌していた。この因子は分子量10kD以上の易熱性タンパク質で、グリオ-マ細胞はこの因子に対して走化性chemotaxisのみならず化学運動性chemokinesisをも示した。この運動性因子は自己の細胞以外に他のグリオ-マ細胞の遊走能をも促進した。U373MG細胞も運動性因子を産生したが、その活性はT98Gの14%であった。またA172細胞はT98G細胞の45%の運動性因子を産生したが、自己のみならず他の細胞のCMに対しても遊走反応を示さなかった。ArgーGlyーAsp(RGD)含有ペプチドは運動性因子によるグリオ-マ細胞の遊走能を用量依存性に抑制した。以上の結果より、悪性グリオ-マ細胞はautocrine的に作用する運動性因子を産生し、特にその化学運動性は浸潤初期過程と考えられる腫瘍細胞の主病巣からの遊離を促進していると推察される。運動性因子によるグリオ-マ細胞の運動能の調節にはその因子に対する受容体が重要な役割が果たしていることが示唆された。
2.悪性グリオ-マ細胞のcytokinctic rcsistance:
寛解期の臨存腫瘍では、G_1あるいはG_0期に静止している細胞の割合が増加し、初期導入治療後に獲得したいわゆる薬剤耐性以外に、細胞周期上の位置に起因する耐性cytokinetic resistanceの問題も無視できない。そこでserumーfreeの条件下ではG1期にgrowth arrestされるという特性を持つヒトglioblastoma由来T98G細胞を使用し、細胞周期上の位置による抗癌剤感受性の相違を検討した。Flowcytometryによるcontrol群(10%血清添加)の細胞動態解析では、G_0/G_155%、S31%、G_2M14%であったが、72時間無血清培養により85%以上がG0/G1に集積していた。Etoposideによる24時間治療後のregrowth assay(MTT)では、IC_<50>値はcontrol群20μg/mlに対し無血清培養群では80μg/ml以上の高値で極めて強い薬剤耐性を示した。以上のことより、etoposideのようなcellーcycle specificな抗癌剤は、G_0/G_1期細胞が腫瘍の多くを占めると考えられる寛解期には維持療法剤といて投与しても、初期導入時ほどの効果は期待できないと推定される。

  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] Izumoto S,et al: "Allele loss on chromosome 10 in human glioblastoma." Biological aspects of brain tumor. 300-305 (1991)

  • [文献書誌] Hiraga S,et al: "Cytokinetic resistance of malignant glioma cellsーantineoplastic agents during maintenance therapy." Biological aspects of brain tumor. 273-280 (1991)

  • [文献書誌] Ohnishi T,et al: "Potentiation of VPー16 cytotoxicity by dipyridamole in malignant glioma cells." Biological aspects of brain tumor. 252-259 (1991)

  • [文献書誌] Ohnishi T,et al: "Human malignant glioma cells migrate to fibronectin and laminin:Role of extracellular matrix components in glioma cell invasion." Biological aspects of brain tumor. 408-415 (1991)

  • [文献書誌] Ushio Y,et al: "Chemotherapy of brain metastases from lung carcinoma:A controlled randomized study." Neurosurg. 28. 201-205 (1991)

  • [文献書誌] Taki T,et al: "T98G glioma cells hava nicks in DNA in quiescent phase." Exp Cell Res. 190. 212-217 (1990)

  • [文献書誌] Ohnishi T,et al: "Motility factor produced by malignant glioma cells:role in tumor invasion." J Neurosurg. 73. 881-888 (1990)

  • [文献書誌] Izumoto S,et al: "Effect of MX2,a new morpholino anthracycline,against experimental brain tumors." Anticancer Res. 10. 735-740 (1990)

  • [文献書誌] 有田 憲生 他: "脳腫瘍診断と治療の進歩ー化学療法の進歩ー" 癌と化学療法. 18. 180-187 (1991)

  • [文献書誌] 樋口 真秀 他: "ヒト悪性グリオ-マにおけるfibronectin Lamininおよびfibronectin receptorの免疫組織学的局在ー腫瘍浸潤との関連よりー" 脳神経. 43. 17-23 (1991)

  • [文献書誌] 有田 憲生 他: "悪性神経膠腫に対する維持化学療法ー現状と理論的背景ー" 脳神経外科ジャ-ナル.

  • [文献書誌] 有田 憲生 他: "悪性グリオ-マの髄腔内播種" Neurosurgeons.

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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