研究課題/領域番号 |
02454339
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
阿部 周一 北海道大学, 理学部, 助教授 (80125278)
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研究分担者 |
野島 孝之 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (50142732)
松野 丈夫 北海道大学, 医学部, 助教授 (10165847)
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 教授 (60001765)
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キーワード | 骨軟部悪性腫瘍 / 横紋筋肉腫 / ユ-イング肉腫 / 特異的染色体転座 / 多重遺伝子変異 / がん抑制遺伝子 / ジェノミックライブラリ- |
研究概要 |
今年度新たに樹立した2例を含む13例の横紋筋肉腫細胞株と3例のユ-イング肉腫細胞株において分子細胞遺伝学的解析を行ない以下の知見を得た。 1.腫瘍細胞の染色体分析により、2;13転座と横紋筋肉腫(胞巣型6例中5例)、ユ-イング肉腫と11;22転座(3例中2例)の密接な関連が一層明白になった。今回分析した2;13転座のうち2例は変異型で、その1例は13番染色体が関与していなかったことから、2番染色体の遺伝学的変異が横紋筋肉腫発生にとってより重要である可能性が示唆された。 2.腫瘍細胞と患者正常体細胞のDNA解析により、1番、2番、13番、17番染色体における多重遺伝子変異が両腫瘍において明らかになり、これらの腫瘍の発生・増殖に染色体異常を含む複数の遺伝学的変化が係わっていることが強く示唆された。殊に、がん抑制遺伝子として知られる13番染色体のRb遺伝子や17番染色体のp53遺伝子の欠失または再配列が一部の横紋筋肉腫やユ-イング肉腫症例にみつかったことは、両腫瘍の増殖・進展のメカニズムを探るてがかりを与える重要な知見である。今後PCR法によるダイレクトシ-ケンシングなどを用い、これらの遺伝子変異の本体を追究して行く。なお、DNA解析と染色体in situハイブリダイゼ-ションにより、2;13転座の13番染色体切断点はRb遺伝子より動原体側にあることが分かった。 3.これらの解析と平行して、上記の特異的染色体転座を持つ腫瘍細胞からジェノミックライブラリ-を作成すると共に、微小核融合法による腫瘍細胞への単一染色体移入のためのヒト・マウス雑種細胞クロ-ンパネルを作成した。これらは、両腫瘍の特異的転座切断点のクロ-ニングをはじめ、骨軟部悪性腫瘍主遺伝子追究に役立つ。
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