研究課題/領域番号 |
02454340
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
原田 吉雄 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (40001937)
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研究分担者 |
加茂 裕樹 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50214565)
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90167924)
平山 隆三 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10110644)
竹光 義治 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00038663)
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キーワード | 神経根 / 神経節 / 化学受容器 / 神経伝達物質 / 神経根性疼痛 |
研究概要 |
本年度においては“神経根障害における痛みの発現機序とその増悪・緩解要素の解析"に焦点をおいて研究を行った。実験動物として主に成猫、成犬を用いた。麻酔下に腰椎を椎弓切除した後、神経節を含めて腰部脊髄後根(L6,7)を採取した。95%O_2と5%CO_2で飽和した人工脳脊髄液を満たしたchamber中に維持した。神経根の中枢側を5ー10本に細分してそれぞれの電気的活動を双極白金線電極を用いて導出・記録した。この状態では神経の自発活動は認めなかった。micromanupilatorに装着した圧迫子により神経節の部分に20g程度の圧迫を5秒間加えると直後より著明な神経活動が発生し、圧迫終了後も20ー60秒間持続した。一方神経節部以外の神経根を同様に圧迫した場合にはごく僅かの活動が瞬時的に発現したのみであった。この現象はきわめて再現性が高く、神経根において神経節部が物理的因子に対してきわめて感受性が高いことが明らかにされた。さらに神経根の化学感受性を検討するため神経伝達物質とされるものを含めて様々な化学物質を作用させ、引き起こされる神経活動の特性を解析した。これまでの所、substanceーP等一部のペプチドやcapsaicinのような発痛物質の一部により自発活動の明らかな増大を認めていることから、特に神経節部分の化学受容器存在に基づく化学的環境因子と神経性疼痛の発現が強く関連しているであろうことが強く示唆された。一般に血流障害の際に発生しうる酸生濃度低下や炭酸ガス濃度の増大はこれまで解析に用いた物理的・化学的因子により発現する神経根の活動を増強する傾向が認められた。また慢性圧迫状態にあった神経根の場合にも同様に感受性が増強されていることが分かった。本年得られたこれらの成績は脊椎疾患において発生する神経根性の疼痛に関してきわめて重要な知見を提供したとともに、今後疼痛抑制因子を客観的に検討する理想的な実験モデルであることが検証されたと言える。
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