研究概要 |
15羽のNZWウサギ(3Kg)を5羽ずつ3群に分けた。第1群は対照,第2群は10μg/kg,3群は100μg/kgの24R,25(OH)_2D_3を毎日、8週間投与した。6週と7週でテトラサイクリンによる骨ラベリングを行った。実験終了後、左大腿骨を摘出し、骨ミネラル量を測定した。近位と遠位の骨端,骨幹端部の骨量は、第3群で第1群に比べ約15%増加した。骨幹部の皮質骨について、メチルメタクリレ-ト包埋,ユングミクロト-ムにて5μmの非脱灰標本を得た。骨形態形測にて二重ラベルされたosteonの数は1,2,3群の順に2.47±0.819,1.14±1.02,0.137±0.307N/mm^2であり、吸収窩を伴ったosteonの数は1.37±0.721,0.412±0.370,0.208±0.339N/mm^2であった。力学試験で骨の力学的性質を検討したところ、単位体積あたりの骨の強度は、第1,2,3群でそれぞれ20.7,21.6,21.7×10^<-3>n・mであった。また骨の剛性は22.0,23.7,24.7×10n・m/degであった。また、器官レベルの骨の強度は第1,2,3群とも骨ミネラル量とよく相関し、相関係数はそれぞれ0.898,0.753,0.776であった。即ち、24R,25(OH)_2D_3は正常ウサギの骨量を確実に増加させるが、骨は骨吸収が抑制され著しい低代謝回転骨になっていることを明らかにした。しかし力学試験では、このような著しい骨代謝回転の低下にもかかわらず、24R,25(OH)_2D_3を投与されたウサギの骨強度や剛性など、単位体積あたりの骨の力学的性質は対照群と同じであることが明らかとなった。従って24R,25(OH)_2D_3で増加した骨の力学的性質は、正常の骨が増加したのと同じように、増強するものと考えてよいと思われた。今後は、24R,25(OH)_2D_3の骨吸収制効果について研究を進める予定である。3年の研究計画における初年度の目標は、ほとんど達成された。
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